3軸加速度センサの構造(米Georgia Institute of Technologyと米Qualtré社のデータ)。
3軸加速度センサの構造(米Georgia Institute of Technologyと米Qualtré社のデータ)。
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3軸加速度センサの断面イメージ(米Georgia Institute of Technologyと米Qualtré社のデータ)。
3軸加速度センサの断面イメージ(米Georgia Institute of Technologyと米Qualtré社のデータ)。
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 2013年1月に開催されたMEMS関連の国際学会「IEEE MEMS 2013」では、真空パッケージ内で高精度に動作する3軸加速度センサの発表があった(論文番号:3A-2)。角速度センサ(ジャイロスコープ)とともに1チップ化し、1パッケージに収めやすくなる。一般に多くの加速度センサは大気圧レベルかそれ以上で、角速度センサは真空に近い気圧で、安定かつ高精度に動作する。このため、二つのセンサを同一パッケージに封止して高い精度と安定性を維持することは難しかった。

 今回の加速度センサは、加速度を検知するための3軸分の重りを1チップ上に形成しており、重りの動きは周囲の電極とでつくったギャップの変位による静電容量変化から検知する。特徴は、デバイス層が40μm厚のSOIウエハーを使うとともに、ギャップを300nmと狭めていることだ。多く使われている同じ目的のギャップは1μ~5μmという。

 この狭いギャップを選択したことで、加速度センサが真空に近い環境でも安定動作する。一般に加速度センサは、重りが加速度を受けた際に動き、それが元に戻ろうとする際に振動してしまう。この振動を短時間に抑えるために、空気の粘性を利用している。今回、キャパシタの静電容量検知用とは別に、振動を抑制させる電圧を与えるための減衰電極を設け、これで空気の粘性に頼らず減衰させる。減衰電極に加える減衰に十分な電圧は、ギャップによって変わる。ギャップを小さくすると低い減衰電圧で十分な減衰を得られ、今回のような微小構造を維持できるという。