クラウドによるエネルギー・マネジメントの説明
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ブースでの実演
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テレビと照明のクラウド連携の説明
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 恒例になった東芝のスマートホーム戦略の「International CES」記者会見でのメディア・ブリーフィング。昨年はスマートメーターと連携して家庭の電力を制御する「スマートホーム」を提案したが、今年はクラウド・サービス色を前面に押し出した。クラウドから家庭の家電やAV機器を制御することで、家庭内のエネルギー・マネジメントが楽になったり、エンターテインメントとの連携によってエンターテインメントの享受の質が上がったりすることを、ブースでデモンストレーションしていた。スマートコミュニティ事業統括部長の丸山竜司氏は言う。

 「われわれはお客さまにクラウド・サービスをパッケージでご提供しようと考えています。『楽しみ』、『喜び』、『安心』、『見守り』……などのテーマで、生活を横串する複数サービスのパッケージです。大事なことは、人手を掛けずに、機器と機器があたかも対話するように仕事させることです。例えば節電をするのも、いちいち人が機器のところに行ってスイッチを切ったり、調整を弱めたりするのは大変だし、苦痛ですね。そこで、機器と機器が対話し、互いにエネルギー消費を調整するというシーンを作りたいと思っています」(丸山氏)。

 例えばこんなシーンだ。通常は省エネ・モードにしておいて、夕飯づくりの時は電子レンジをフルパワーで動かし、調理を優先にする。この時、ホームランドリーで乾燥作業をしていたら、それも一時停止させる。見た目は電子レンジからホームランドリーに直接「停止指令」を出すイメージだ。主婦の生活パターンをデータとして蓄積していれば、クラウドからの指令で、緻密(ちみつ)にコントロールすることが可能になる。

 オーディオ・ビジュアルの立場で興味深かったのが、テレビと照明のクラウド連携である。テレビで映画の鑑賞を始めると自動的に、テレビの画面は暗く色温度の低い映画モードに移行する。同時にLED照明もシアターモードになる。下に向けた直接光ではなく、天井反射の暗くやわらかい光になるのだ。色温度も活発的な高い度数ではなく、映画の画面にふさわしい、はんなりとした照明にする。

 「ログデータをいかに分析するかが決め手になります。この家庭はどのぐらいで電気を使用しているのか、家族構成は、時間帯は……などのライフログデータをクラウド上で分析し、行動パターンをつかみ、その家族に最適なアルゴリズムとレコメンデーションをします。この時間にこう使うのになら、別のやり方として、こうしたらどうですかと提案します」(丸山氏)。

 これらの構想の実現には、東芝社内での家電、AV機器、エネルギー、半導体などの複数の事業体の連携が求められよう。2013年は、具体的な動きが見られそうだ。