米Sony Electronics社 コンシューマー・マーケティング部 執行副社長の高橋美波氏。
米Sony Electronics社 コンシューマー・マーケティング部 執行副社長の高橋美波氏。
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 ソニーは現在、テレビ事業を高級分野に絞っている。同社 社長 兼 最高経営責任者(CEO)の平井一夫氏は、ラウンドテーブルでこう言った。

 「テレビ事業の反転には、やはり既存の液晶テレビでいかに事業として利益を上げるかが大事です。液晶テレビは攻撃と防御の組みあわせを追求します。テレビ事業でシェアが下がっているのは、2年で黒字にしなければならないというミッションにおいて、まずは出血を止めないとならないからです。台数が増えれば増えるほど赤字が出るという事業は、ないです。従って、われわれはシェアは追いません。台数を絞っているのだから、シェアは当然下がります。これは想定の範囲です。進捗はかなり良いです。防御では、コスト・ダウンは早く効果が出ます。これと同時に、商品力を上げることが重要です。4K×2Kテレビに大いに期待しています」。

 具体的に言うと、2000米ドル以上のテレビに重点を置く。米Sony Electronics社の調べでは、米国市場における2000米ドル以上のテレビの構成比率は現在約8%(金額ベース)。ソニーは2013年春に発売開始の55型と65型の4K×2Kテレビを筆頭とする高付加価値商品を拡販し、2000米ドル以上の価格帯の市場を広げるという。55型、65型の4K×2Kテレビは、その象徴だ。同社は2012年11月24日、初の4K×2Kテレビ「XBR-84X900」を出荷した。同社コンシューマー・マーケティング部 執行副社長の高橋美波氏によると、「予測の2割以上増し」で売れているという。

 「流通を絞り、全米で約20店舗で発売しました。ユーザーの自宅へのインストール(導入・設置)は大変です。サイズが大きいということもありますが、4K×2Kコンテンツを30ほど入れたパソコンをバンドルしているので、そのセットアップもあり、必ずソニーの担当者も販売店のスタッフといっしょに訪問しています。もう数百台が出荷されましたが、この数字は、事前の予測の2割以上増しです」(高橋氏)。

 XBRという栄光の型番を与えたことは4K×2Kへの期待の大きさを表している。55型と65型の北米での型番は「XBR-65X900A」と「XBR-55X900A」。「XBR」は、ブラウン管テレビ時代から、米国におけるソニーのテレビのラインアップで最高のステイタスを持つサブネーム。フルHDの液晶テレビでも日本国内モデルの最上位の「xシリーズ」と同じ回路を搭載し、絵づくりにもこだわるブランドとして定評を持つ。

 「これからは4K×2KがXBRです。55型と65型に対するディーラーの評判は大変良好です。2014年には、大型(40型以上)の3割は取りにいきたい。米国のユーザーは画質に興味がないとよく言われますが、コア機能に関してはきちんと見ていると、私は思います。画質を比較すると分かってくれます。サイド・スピーカーの音へのこだわりも強く訴求していきます」(高橋氏)。