Leap社が開発した動き検出装置
Leap社が開発した動き検出装置
[画像のクリックで拡大表示]
検出技術を用いたデモの様子。
検出技術を用いたデモの様子。
[画像のクリックで拡大表示]

 Leap社でProduct MarketingのVice Presidentを務めるMichael Zagorsek氏は、「検出装置のハードウエア自体に大きな技術的な工夫は特にない。ただの箱だ。マジックはソフトウエアにある」と話す。同氏は、米Apple社の出身だ。

 同社は詳細を明かしていないが、高精度の動き検出を可能にする技術は検出アルゴリズムにあるという。同社の創業者の一人でCTO(最高技術責任者)のDavid Holtz氏が開発した。同氏は、22歳で数学の博士号を取得した、いわば「天才」。その後、NASA(米宇宙航空局)で働いた後、2010年にLeap社を創業した。

 そのHoltz氏が数学の知見を基に編み出した検出アルゴリズムを用いた技術がLeapだ。「ソフトウエア処理の負荷も軽い」(Michael氏)という。今回のCESに合わせて、台湾のASUS社と製品のOEM供給で提携した。ASUS社は、一部のパソコン新機種にLEAPの検出装置とソフトウエアを同梱して販売する。

ユーザーの振る舞いを変えたい

 Leap社は、開発した検出装置と、検出アルゴリズムを組み込んだソフトウエアから成るソフトウエア開発キット(SDK)を開発者向けに公開している。指先の検知や、手の角度の検出、手でつかんだり、ピンチ操作をしたりする際の動きなどを検出するためのAPIを用意した。既に4万2000人を超えるソフトウエア開発者からリクエストを受けており、1万2000個のSDKを無償で配布したという。

 Michael氏は「現在のパソコンは、マウスとキーボードの操作を前提にデザインが決まっている。これを変えたい。検出技術はもちろん大切だが、より重要なのはユーザーが機器を操作する際の振る舞いを変えることだ」と意気込む。

 パソコンだけではなく、同社はテレビにも大きな興味を抱いている。離れた場所から視聴するテレビ自体への組み込みは、現在の検出範囲を広げる工夫が必要だ。ただ、例えば、手元に置いておくリモコンなどに検出装置を組み込み、無線通信を組み合わせれば、スマートテレビなどの新しい操作性を実現できる可能性を秘めている。「機器に検出装置とソフトウエアを組み込んでもらえたらうれしい」と、Micheal氏は期待する。

 ジェスチャー入力を用いたUIでは、距離画像センサを用いた米Microsoft社の「Kinect」がこの1~2年で大ブレークした。注目を集める分野だけに、Leap社への投資も集まっている。ベンチャー投資家から約4400万米ドル(約39億円)を調達した。開発者をうまく囲い込み、高精度の検出性能を引き出す新しい応用を生み出せれば、ジェスチャー入力の新しい旗手として脚光を浴びるかもしれない。