ソニー 社長 兼 最高経営責任者(CEO)の平井一夫氏
ソニー 社長 兼 最高経営責任者(CEO)の平井一夫氏
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 ソニー 社長 兼 最高経営責任者(CEO)の平井一夫氏のラウンドテーブルでの質疑応答を聞いていて、「この男はやる」と、筆者は思った。平井氏は2012年4月就任直後に“ワン・ソニー”を打ち出し、人事とCFO以外の各事業体のトップを、米国以外は総入れ替えした。これは正しい。改革はまず人事からである。

 「ソニー改革という、これから進むべき夢を共有できる人に担当してもらいました。彼らは担当部門の利益責任を背負っているわけですが、それに加えて毎週、その技術・製品がソニー全体にどう貢献するかの視点で議論を戦わせています。私はまた『ソニーは危機的な状況にある』と、世界の事業所に足を運び、私の言葉で語り、一体感を作ろうとしてきました。その努力がここに来てフィードバックされてきたことを感じます。社員にもだんだん、ワン・ソニーとしてトップ・マネジメントが同じ方向に進んでいることが理解されてきました」。

 象徴的なエピソードが、今回の記者会見では、お決まりのハリウッドスターや歌手がいなかったことだ。会見に花を添えるのが恒例だったが、「やめさせました。なんでエレクトロニクスのショーなのに歌手がいるのか」。確かにそうだ。ソニー・グループはエンターテイメントまで手を出していることを、スターの存在でアピールしてきたが、それは邪道だ。平井氏は「ものづくりを徹底する」ことを、CESで強烈に訴えた。「あとは結果を出すしかない」(平井氏)。