Quiet Bubbleを組み込んだ椅子
Quiet Bubbleを組み込んだ椅子
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信号処理用のDSPなどを実装した基板
信号処理用のDSPなどを実装した基板
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技術を紹介するCPOのNaor氏
技術を紹介するCPOのNaor氏
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 イスラエルのベンチャー企業であるSilentium社は、周囲の雑音を低減する技術を開発、「2013 International CES」に出展した。周囲の雑音の周波数と、逆位相の周波数の信号を生成することで雑音を消す、アクティブ・ノイズ・キャンセルをベースに、独自の信号処理技術で静音性を高めたという。同社は開発技術のライセンス供与を想定しており、航空機のビジネス・クラス用シートの開発メーカーや、自動車メーカーなどへの採用を目指している。

 Silentium社は、開発した技術を「Quiet Bubble」と呼んでいる。80Hz~2kHzにおける雑音を周囲から取得し、DSPを使って逆位相の信号を生成して雑音レベルを低減する。同帯域において、15dB~20dBの低減効果を確保できるという。「人の話声など音声には影響しない」(同社 Chief Product OfficerのYoel Naor氏)としており、周囲の雑音が激しい場所でも会話を継続できることを強みに、採用を働きかけていく考えだ。

 ベースとしているのは、ヘッドホンなどでも利用されているアクティブ・ノイズ・キャンセル技術だが、同社独自の技術が加わっているという。「多数の方向からやってくる雑音に対して、どの方向の雑音が主因であるかを計算し、静音性を高めている」(Naor氏)。同社の技術は、これまでにイタリアの厨房機器メーカーに採用されており、換気扇のファンの雑音を低減する用途に用いられている。同社は、評価用キットを約3000米ドルで販売しており、既に100社以上が購入しているとする。評価用キットでは、信号処理に米Analog Devices社のDSPを用いている。

 CESの会場ブースでは、Quiet Bubble技術を組み込んだ椅子を用意した。来場者に実際の効果を感じられるように、人工的に雑音を周囲で発生させ、Quiet Bubbleのオンオフを切り替えながら雑音低減能力をアピールした。展示会場では人気のブースとなっており、多くの人が静音性を確かめていた。