LG社の4K放送のデモの様子
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デモで用いている受信用アンテナ
デモで用いている受信用アンテナ
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Samsung社による4K映像配信のデモの様子
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Samsung社のHEVCのデモ
Samsung社のHEVCのデモ
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 4K×2K(3840×2160)画素の映像(4K映像)を家庭に届けるための取り組みを、大手エレクトロニクス・メーカーが本格化している。2013年1月11日まで米国ラスベガスで開催中の民生機器関連の展示会「International CES 2013」では、ブース内の展示にその様子が表れた。

 韓国のLG Electronics社とSamsung Electronics社は、それぞれ4K映像の「地上放送」と「配信」の実験を始めたことをブースでアピールした。ソニーも2013年夏に4K映像配信サービスを始めることを明らかにしている。各社は家庭に映像を届ける環境を整えることで、4K映像に対応した大画面テレビ(4Kテレビ)の需要を掘り起こしたい考えだ。

 LG Electronics社は、4K×2K(3840×2160)画素の映像(4K映像)を地上放送と同じ枠組みで液晶テレビに送信する実験を同社ブースで見せている。同社は、韓国の公共放送局KBSと共同で4K映像の試験放送の実験を進めている。今回のデモでは、この実験と同様の技術で4K映像を84型の4K液晶テレビに“放送”しているという。「単に映像を表示しているのではなく、会場内で流した電波を実際に受信した映像だ」と、LG社の説明員は話した。

 実験で用いている放送方式は、欧州のデジタル放送規格「DVB-T2」。放送波の帯域幅は6MHzである。4K映像のフレーム速度は60p。動画圧縮技術「High Efficiency Video Coding(HEVC)」を用いて、符号化速度35Mビット/秒で符号化する。

 この圧縮技術は、動画圧縮技術の国際標準化団体「Moving Picture Experts Group(MPEG)」と「Video Coding Experts Group(VCEG)」の共同チームが標準化を進める次世代の国際標準規格だ。現行規格の「H.264/MPEG-4 AVC」で実現している圧縮率を2倍に高めることを目標にしており、4K映像への応用で期待が大きい。HEVCを用いることで、放送での利用が多いMPEG-2で圧縮するよりも符号化効率が75%以上高まったという。

 Samsung Electronics社は、インターネットを用いたVODサービス大手のNetflix社と共同で4K映像のストリーミング配信技術の検討に着手している。CESの同社ブースでは、共同検討を進めている配信技術による4K映像のストリーミング配信をうたった展示を見せた。この他、Samsung社はHEVCで圧縮したフルHD(1920×1080画素)映像を配信し、同社の液晶テレビの最新機種で表示するデモも展示している。

■変更履歴
記事掲載当初、韓国Samsung Electronics社の表記の一部に誤りがありました。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2013/01/10 15:16]