図1 「FUJIFILM X100S」(右)と「FUJIFILM X20」(左)。
図1 「FUJIFILM X100S」(右)と「FUJIFILM X20」(左)。
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 富士フイルムは、デジタル・カメラの高級機「Xシリーズ」の新製品を2機種発表した。2013年1月8日に米国ラスベガスで開幕する民生機器の展示会「2013 International CES」の前日に開催した記者発表会で詳細を明かし、実機を初披露した。

 いずれもコンパクト型デジタル・カメラで、名称は「FUJIFILM X100S」と「FUJIFILM X20」である(図1)。X100Sは「FUJIFILM X100」の後継機で、35mmフィルム判換算で35mm単焦点レンズを備える。開放F値は2。X20は「FUJIFILM X10」の後継機で、35mmフィルム判換算で28~112mmの光学4倍ズーム・レンズを備える。従来機から撮像素子と画像処理エンジンを刷新することで「さらなる高画質と高速性能を実現した」とする。米国では2013年3月に販売を開始する。価格はX100Sが1299米ドル、X20が米599ドルの予定。

スマートフォンと一眼レフ・カメラの間を埋める


 記者発表会で登壇した富士フイルムのToshi Iida氏(同社 Electronic Imaging Products DivisionのWorld Wide Marketing Manager)は、写真業界の状況として年々、世界中で撮影される写真の枚数が伸び続けていることを紹介。2012年は「4000億万枚以上の撮影がされた」(同氏)という。撮影枚数の増加を支えているのが「手軽に撮影できるスマートフォンと、高画質がウリの一眼レフ・カメラの市場拡大」(同氏)である。こうした状況に対して、「スマートフォンと一眼レフ・カメラの間を埋める第3のカテゴリへのアプローチ」(同氏)として開発したのがX100SとX20だと位置付けた。X100SとX20の開発で注力したのが、「Quality(画質)」「Style(スタイル)」「Speed(スピード)」の3点だったと説明した。

 最大の特徴は撮像素子で、「X-Trans CMOS II」を新開発してX100SとX20に搭載した。X100SはAPS-Cサイズの有効1630万画素品、X20は2/3型の有効1200万画素品である。まず、カラー・フィルタの配列を工夫することでローパス・フィルタを無くした。X100Sでは、X100に比べて「25%の高解像度化と30%のS/N比の改善を達成した」(同社)とする。これは同社のミラーレス・カメラに搭載する「X-Trans CMOS」から継承している。

 今回はさらに、CMOSイメージ・センサ上に位相差画素を内蔵し、位相差AF(オート・フォーカス)を実現した。X100Sでは0.08秒、X20では0.06秒という高速なAFを実現した。被写体やシーンに応じてコントラストAFと切り替える機能を備える。

 この他、X100SにはMF(マニュアル・フォーカス)向けに「デジタルスプリットイメージ」と呼ぶ機能を搭載した。画像中央部分の像を左右にずらして表示し、ピントを合わせると徐々に像が一致するもの。高精度の高いピント合わせが可能になるとする。