記者発表に登壇した平井氏
記者発表に登壇した平井氏
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米国で発売する4K液晶テレビ
米国で発売する4K液晶テレビ
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 ソニーは、4K×2K(3840×2160)画素の映像コンテンツ(4Kコンテンツ)を、家庭に配信するサービスを2013年夏に米国で開始する。同年1月8日に米国ラスベガスで開幕する民生機器の展示会「2013 International CES」の記者発表会で、同社 社長兼CEOの平井一夫氏が明らかにした。サービス開始に先駆けて、4K映像を表示できる大画面テレビ(4Kテレビ)も製品ラインを拡充する。

 ここにきてテレビ・メーカー各社による4Kテレビの製品化は相次いでいるものの、家庭で手軽に視聴できる4Kコンテンツがほとんど存在しないことから、普及のハードルは高いとの見方が強い。頼みの綱は、フルHD(1920×1080画素)映像をアップコンバートして4K映像を生成する技術というのが現状だ。

 ただ、既に映画業界では4K映像での撮影と、4Kプロジェクターによる上映を実現する環境が広がっている。ソニーは映画会社をグループ内に持つ強みを生かして4Kコンテンツの提供に先鞭を付け、4Kテレビのシェア確保と普及にてこ入れしたい考えだ。

 4K映像の配信サービスでは、専用のメディア・プレーヤーを用いる。ソニーグループの映画作品に加え、他の映画会社の作品も配信する。サービスの詳細は明らかにしていないが、大容量の4K映像を配信するための伝送帯域の確保や、動画圧縮技術、高精細の作品を扱うための著作権管理技術などが課題になりそうだ。

 4Kテレビでは既に製品化済みの84型の液晶テレビに加え、65型と55型の2機種を2013年春に発売する。発表会では、4K映像を撮影できる家庭用ビデオカメラを製品化する計画も明らかにした。撮影から配信、視聴まで4K映像の流通経路を用意することで、苦戦するテレビ事業の復活を果たすことを目指す。