開発したUSB PD対応の試作機による実演の様子
開発したUSB PD対応の試作機による実演の様子
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 USBの普及促進団体「USB Implementers Forum(USB IF)」は、同インタフェースで最大100Wの電力を機器に供給できる新仕様「USB Power Delivery Specification(USB PD)」の機能を組み込んだ、ノートパソコンと液晶ディスプレイの試作機を開発した。米国ラスベガスで2013年1月8日(現地時間)に開幕する「International CES 2013」に出展する。同月6日(同)に開催された報道関係者向け事前イベント「CES Unveiled」で試作機の実演を見せた。

 USB PDは、USB 3.0の標準化を進める「USB 3.0 Promoter Group」が2012年7月に策定した仕様。これまで最大4.5W(データ送受信が可能な状態)だった機器への電力供給を最大100Wに引き上げることで、LED照明やパソコンといったさまざまな機器での利用を目指している。家庭やオフィスで利用している既存の電源コンセントの姿を変える可能性を秘めているとして、注目を集める技術だ。

 今回開発したのは、市販のノートパソコンと液晶ディスプレイを改造し、USB PDの機能を実現する回路を内蔵した試作機である。外見上は、普通のノートパソコンや液晶ディスプレイとほとんど変わらない。USBを用いたデータ伝送用のLSIは、米DisplayLink社の試作チップを用いたという。電力供給用のLSIの開発元は明らかにしなかった。

 実演では、USB PDを用いて液晶ディスプレイからノートパソコンに対して65Wの電力を送電し駆動する様子を見せた。同時に、ノートパソコンで再生した動画をUSBを介して液晶ディスプレイに送信。液晶ディスプレイの画面で動画を表示し、USBケーブル1本でデータと電力の両方を送れることをアピールした。液晶ディスプレイには通常の電源コンセントから電力を供給していた。設定を変えることで、ノートパソコン側から液晶ディスプレイに電力を供給することも可能という。

 USB IFの担当者は、今回の試作機と同様の機能を備えたUSB PD対応機器が製品化される時期を「1年後くらいになるのではないか」との見通しを示した。