【緒方のビジネスレビュー】
海外進出の期待も膨らむ

 ベンチャー企業の価値を評価する時に「そこにニーズ(ペイン)があるか」「その組織だからこその差異化した強みがあるか」「市場規模が大きいか」を評価する。だいたいのベンチャーはどこかに弱い部分があるのだが、エルピクセルはこの3つが非常に強い。

 そんなベンチャーへは投資家はぜひとも投資したいところ。だが、そういうベンチャーに限って投資が必要ないパターンも多い。投資家も大変である。

 社会人経験の少ないベンチャーにありがちだが、営業や事業提携での大企業との交渉に弱いことが多い。ビジネスの経験値を増やしつつ、一気にスケールするのであれば経験豊富な人材の確保が重要になる。

エルピクセルのメンバー
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 また、一般的な効率化サービスで必ず大事になることだが、この技術によってどれくらいの経済効果があるのかを顧客にどう見せるかも大きなポイントと言える。この技術でできることとその価値をより明確にして、大企業のニーズをうまく集結・解決し、さらに技術を磨くというスパイラルをどれだけ回せるかが成功のカギだと考えている。

 海外進出の障壁が低く、既に海外にも目を向けている。海外進出していくと、どこまで大きく育っていくのか期待で胸が膨らむ。

 苦労した体験や不安はないかと聞いたら面白い言葉が返ってきた。「今まで大きな苦労なくここまで来てしまったことが不安だ。きっと大変な時期もあるだろうからそれに備えたい」。どこまでも謙虚な実力者たちに太鼓判を押しかける手を抑えつつ、来年またここでさらに成長をした彼らの記事を書いてみたいと思う。