工場の自動化や造形デザインの分野で広く用いられてきた三次元計測が、最近、新たな分野で利用されるようになってきた。自動車の衝突軽減ブレーキや自動走行、ゲーム機・家電機器等のジェスチャー操作、家庭用ロボットのための視覚センサーなど、我々の生活空間での利用が進みつつある。

 この三次元計測の入門講座を、日経BP社は技術者塾として開催する(詳細はこちら)。本講座で講師を務める広島市立大学大学院 情報科学研究科 知能工学専攻 知能メディア分野 教授の日浦慎作氏に、講座の狙いや効果、三次元計測のポイントなどについて聞いた。

日浦氏
広島市立大学大学院 情報科学研究科 知能工学専攻 知能メディア分野 教授の日浦慎作氏

――本講座を受講することで習得できることを、ご紹介ください。

 カメラや画像を用いて対象物体までの距離を計測する手法は古くから研究されており、さまざまな手法がこれまでに提案されてきています。しかし、それらの手法の利点と欠点を十分に把握し、適材適所に活用するのは意外と難しいものです。どうしても、これまでに実績のある手法に固執してしまったり、市販の機器の範囲にとどまってしまったり、といったこともよく見受けられます。

 三次元計測の手法を適切に選択するには、それぞれの計測原理を、用いられている光の性質やデバイスの現状、数理的な枠組みなどの下地からしっかり理解することが必要になります。本講座では、それぞれの計測原理を単に表面的になぞるだけではなく、実例なども交えながら「芯から理解する」ことを狙いとしています。本講座を受講すると、これまで以上に三次元計測全体の見通しがよくなり、筋の良いシステムの開発に生かせることと思います。