米国を含む23カ国の政府機関からなるクリーン・エネルギー・ミニストリアル(the Clean Energy Ministreal)によると、2014年末までに累積66万台以上の電気自動車(EV)が世界に出回っていた。この総出荷台数のうち、米国が39%のシェアを持ち、日本の(16%)と中国(12%)が続いている。

 そんなEV出荷数で世界をリードする米国に、世界で最初の移動可能な太陽光発電カーポートシステムがお目見えした。すでに、米Google社も使用している。

 EVはガソリンを必要とせず、走行時に二酸化炭素(CO2)を排出しない環境配慮型の次世代自動車として政府機関が普及拡大を進めている。しかし、EVが普及しても、もし充電する電気を、石炭や石油などの化石燃料による火力プラントで発電した場合、走行時はクリーンだが、まったく「CO2フリー」とは言えない。なぜなら火力発電は大量のCO2を排出し、温暖化問題を加速させるからである。

 これらの問題を解決するために、カリフォルニア州サンディエゴ市に拠点を置くEnvision Solar社は、世界で最初の「移動可能な太陽光発電カーポートシステム」を開発した。その名は「EV ARC (Electric Vehicle Autonomous Renewable Charger:電気自動車自立運転再生可能エネルギー充電器)」(図1)。

図1●公共の駐車場に設置されたEV ARC(出所:Envision Solar社)
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 EV ARCのサイズは縦4.88m、横2.74mで従来のクルマ1台分の駐車場内にピッタリと収まる。この独立型太陽光発電カーポートは2.5kWまたは3.3kWの太陽電池を備え、年間3800~7000kWh発電できる。発電量が多くなる理由は、同社の専売特許となる追尾システムを使用しているからである。さらに、このシステムには21.6kWhの蓄電池も備えている。

 EV ARCは、1台の急速充電器、または2台の普通充電器からなる。そして、ランチタイムや会議中、または買い物中などの間に、典型的なEV1台なら満充電、市街地走行に適した小型EVなら数台を25%程度まで充電できるという。

 従来の系統接続した充電スタンドで充電した場合、その電源にはかなり高い比率の化石燃料を使用した火力発電が含まれることになる。一方、EV ARCで充電したEVは、100%再生可能エネルギーとなり、クリーンかつCO2フリーで走行できる。