東芝の不適切会計による決算の修正が発表されました(リンク先 )。パソコン、テレビなどの映像、半導体ではシステムLSIとディスクリート、家電、電力関係ではSouth Texas Projectに減損措置が行われ、2014年度の純損益は赤字となるようです。

 ただ、多くのメディア(リンク先 )でも懸念材料と報道されている、アメリカの原発メーカー Westinghouseの買収に伴う数千億円もの巨額なのれん代については、「のれんの公正価値が帳簿価格を上回っており、のれんの価値は適正と評価」とされており、減損措置は行わないようです。私には「現在の公正価値」をどのように評価しているのかわかりませんが、本当に大丈夫なのでしょうか。

 さて、このコラムの読者であるエンジニアの皆さんは、今回の事件をどのように見られているでしょうか。技術開発の現場からすると、会計処理というのは、良くも悪くも随分遠いところで行われている、自分とは関係ないことと感じているかもしれません。そもそも、本社が現場の事業所から立地としても離れていて、なかなか自分のこととして実感することは難しいでしょう。

 ただ、経営の上層部で行われていることは、良くも悪くも現場にいる自分に大きな影響を与えます。私は東芝でフラッシュメモリーの研究開発に従事し、2007年に大学に移りました。当時、成長著しいフラッシュメモリー事業は、経営者から「キャッシュ・カウ事業」と言われていました。ネットで検索すると、2004年度の経営方針説明会の資料(リンク先 )に「キャッシュ・カウ」の記載が残っていますね。