先日、台湾・経済部技術処と台北駐日経済文化代表処が主催する「日台イノベーションフォーラム 2015」(2015年7月28日開催)に参加しました。フォーラムの狙いはずばり、工業技術研究院(ITRI)をはじめとする台湾の公的研究機関を通じて、日本の企業や大学、研究機関の技術シーズを事業化に結び付ける事例を増やしていこうというもの。日本は企業や大学、研究機関を問わず高い技術力を保有し、一方の台湾は低コストな設計・生産能力を誇り、量産性に優れた企業も多く立地します。日本と台湾は相互補完関係にあるので、台湾の公的研究機関が仲立ちして両者を結び付けるという構図です。

 両者の結び付きを高めていく意義を、フォーラムの講演者が立場や言葉を変えながら日本側の参加者に向かって切々と説いていました。台湾側は経済部技術処や、ITRIと金属工業研究発展センター、精密機械研究発展センターなどの要人が登壇しました。台湾側の参加者は31人(主催者発表)。一方、日本側の参加者は197人(同)。ITRIと包括的情報交換協定(MOU)を2013年に締結した新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と、台湾の研究機関と連携する日本電産もフォーラムに登壇し、技術をベースとして台湾との結び付きを強めることでビジネスを拡大できる可能性を、日本側の参加者に紹介していました。日台の連携事例を多数交えながら紹介していたので、説得力はかなりあったと感じました。

 なお、特許など知的財産権についての発言もあり、台湾は重視していることを強調しました。新興地域との協業となると知的財産権は懸念点によく挙がります。特許重視の姿勢を見せ続けることで、こうした懸念を払拭していけるかもしれません。