スマートフォンやウエアラブル端末など話題の製品を分解、その中に込められた電子部品を詳細に分析した膨大な調査データを基に、様々な製品の未来を展望する。分解・分析によって得られたデータを過去から現在まで時間軸に沿って俯瞰することで、トレンドを見いだし、外挿することで未来を見通す。
技術コンサルタント
スマートフォンやウエアラブル端末など話題の製品を分解、その中に込められた電子部品を詳細に分析した膨大な調査データを基に、様々な製品の未来を展望する。分解・分析によって得られたデータを過去から現在まで時間軸に沿って俯瞰することで、トレンドを見いだし、外挿することで未来を見通す。
上の写真は、英Dyson社が2015年末に発売した、スマートフォン(スマホ)連動のお掃除ロボット「Dyson 360 eye」の梱包箱と外観、分解途中の様子である。Dyson社は吸引力に定評のある掃除機やファンなしの扇風機など、いわゆる白物家電業界に旋風を呼び起こし有名になったブランドメーカーだ。そ…
モーターを取り巻く巨大・新産業を展望
半導体業界に30年以上携わっていると、繰り返される「脈波」があったことが分かる。10年以上前にデジタル家電化のブームがあった。プロセッサーの高性能化とメモリーの大容量化がメインの課題として扱われていたが、同時期には他にも多くの課題が存在した。その一つがモーターである。
クラウドとエッジの両方で増す存在感
半導体は図1に掲載するように、IoT(Internet of Things)という市場を巡って三角形で表される構造で進化(あるいは集約=機能のコンバージェンス化)を進めている。三角形上部の緑の部分は集まるサイド=クラウド、フォグの側、こちらには人工知能(AI)や計算能力の高いプロセッサーやコンピュー…
IoT=ARMという短絡思考に陥るな
台湾MediaTek社が2015年12月に発表し、2016年に発売されたIoT(Internet of Things)プラットフォームの1つ「LinkIt Smart7688」を今回は取り上げる。MediaTek社は、無線LANなどの通信チップを手がける台湾Ralink社や電源ICなどアナログを得意…
難易度が高い無線通信と情報処理の1チップ化
スマートフォンのみならず、多くの機器は通信処理と情報処理の2つの機能で構成されている。通信処理のチップは有線用もあれば無線用もある。一方で、情報処理のチップにはAndroidのようなOSの処理やアプリケーションの処理を行うCPU、3次元画像処理を行うGPU、カメラのレンズの歪みを補正する機能などをを…
S字曲線の後半に差し掛かったスマホ市場でアクセル全開へ
移動通信ではこれまで常に2種類以上の通信方式が使用されてきた。「2G」と呼ばれる世代は「PDC」方式(NTTドコモ)や、今もなお使われている「GSM」方式などがある。そして「3G」の世代には、「CDMA2000」(国内ではKDDIが採用)と「W-CDMA」(国内ではNTTドコモとソフトバンクが採用)…
一部モデルに内製モデムを採用も、Snapdragonは弾き出せず
2016年に韓国Samsung Electronics社が発売したフラグシップのスマートフォン「Galaxy S7」は既に多くの国や地域で入手できる。日本でも各通信キャリアによって大々的に宣伝され、多くのTVコマーシャルなどで目にする製品だ。
ノウハウが積み上げられた中国では非ARMコア採用の動きも
現在、最も普及しているCPUは何か?ずばり、ARMコアを採用したCPUである。過去の出荷個数の累計ではARMコアを凌ぐものもあるが、ARMコアのCPUは2つの分野での爆発的な普及により、名実ともにトップの地位を獲得している。その2つの分野とは、モバイル機器のベースバンドプロセッサー(2G/3G/LT…
増え続けるGPU回路の面積比率、将来はメモリー回路も
米Intel社と言えば、多くの人が「プロセッサーメーカー」だと認識しているだろう。特に汎用性の高いCPUメーカーとしての認識が高い。ただし実際はチップセットメーカーとして、古くからプロセッシングユニットとインタフェース(I/F)のチップをセット化して供給を続けてきた。古くはノースブリッジ(メモリーI…
参入4年目でQualcomm社に並んだHiSilicon社
中国HiSilicon Technology社は、中国の大手通信メーカーであるHuawei Technologies社の半導体部門である。もともとはASICチップの設計・開発部門としてスタートした。2004年設立なので既に12年の実績がある。監視カメラやホームエレクトロニクス用の半導体で多くのシェア…
プロセス技術の進化だけでは製品価値は高まらない
米NVIDIA社はCPUとGPUの回路を統合したアプリケーションプロセッサー「TEGRA」シリーズで、GPUに搭載されるCUDAコア(積和演算ユニット)の個数をアピールして久しい。図1に、「TEGRA4」→「TEGRA K1」→「TEGRA X1」と3世代のTEGRAシリーズのCPUコアの数とGPU…
Qualcomm社、MediaTek社が強いワケ
携帯電話機やスマートフォン、タブレット端末といったモバイル機器では、チップセットが大きなウエイトを占めている。チップセットとは機能の多くをセット化したものだ。一般的には、OSやソフトウエアが動作するアプリケーションプロセッサーと通信(3GやLTE)プロセッサー、通信用のトランシーバー、ローカル通信(…
ハイエンド、ミドルレンジ、ローエンドを考える
米Apple社が初めて独自のアプリケーションプロセッサーを製品に投入したのは2011年のことだ。同社自身が設計・開発を行い、韓国Samsung Electronics社の45nmプロセスで製造した、「A4」と呼ぶプロセッサーだ。A4プロセッサーは、Apple社が2011年に発売した多くの製品に採用さ…
半導体業界のみならず、電子部品にも通じる「ムーアの法則」というものがある。「コンピューターは18か月で2倍の性能を実現できる」とか「1プロセス世代の進化によってチップの単位面積当たりの集積度は2倍になる」といった内容の法則だ。
米国の巨大IT企業の多くは2010年以降、自前のハードウエアプラットフォームを創り出して市場に投入している。米Apple社はその中での老舗の成功モデルである。パーソナルコンピューターの時代からiPod、iPhone、iPad、Apple Watchまで、自前デザインのハードウエアとOS、ソフトウエア…
2年ほど前にインターネットやテレビを通じて販売され、大きな話題となって続編商品も今もなお売れている「Fridgeezoo(図1)」という製品がある。玉子ほどのサイズにセンサーや音声マイコンが組み込まれていて、冷蔵庫を開けると挨拶をしたり、開けっ放しにすると文句を言うなどの機能を備える。続編商品では各…
スマートフォンやタブレット端末で必須のデバイスの1つが通信チップ(セット)である。無線LANやBluetooth、NFCのような近距離通信デバイスと、3G/LTEモデムのような広域通信の両者がセットで使われる(タブレット端末の場合は前者だけのモデルもある)。コンピューターの歴史は、古くから「情報」と…
急成長のファブレス、Novatek社の画像処理ICを採用
2015年7月1日、東京・秋葉原で1つの家電ベンチャーが産声を上げた。カシオ計算機出身の中澤優子氏が設立した「UPQ(アップ・キュー)」である。同社は設立後すぐに数多くの製品を一挙に発売開始。その中の1つである「Q-camera」というアクションカメラを今回紹介する。
米NVIDIA社はGPUに加えて、CPUとGPUのコアを統合したアプリケーションプロセッサー「TEGRA」シリーズを持っている。2008年に発表したTEGRAの最初の製品(当時は「Application Processor 1」の略として「AP1」と命名された)は2009年に米Microsoft社の…
カメラを4基備えた「Bubl」を分解・分析、未来を展望
2基以上のカメラを搭載した製品が2014年以降、急激に増えている。例えばスマートフォンでは、台湾HTC社が発売した「One M8」は500万画素のカメラを2基、つまりステレオカメラを搭載する。撮影した映像の焦点を後から変えることができるという画期的な機能をスマートフォンでは初めて採用した。