今回のテクノ大喜利では、「新時代を迎えるロボット産業と半導体」をテーマに、世界的に急速に熱を帯び始めたロボットの技術開発と産業育成の動きと、半導体産業の関わりについて議論している。半導体の技術開発最前線の動きを追う視点から服部コンサルティングインターナショナルの服部 毅氏に回答を頂いた。
服部コンサルティング インターナショナル 代表
【質問1の回答】当面期待できないが、次世代ロボットが人工知能チップを搭載すればインパクトがある
ロボットに使用される主要な半導体は、一般に、モーターの動きやシステム全体を制御する一連のマイコンやマイクロプロセッサー、 サーボモーターを駆動するドライバーやスイッチ素子、人間の五感に相当する知覚・認識センサ―などである。さらに最近は、ネットワークにつなぐためのRF送受信デバイスなども加わった。しかし、産業用ロボットは、パソコンやスマートフォン、あるいはデジタル家電製品に比べれば、出荷量が少ない。そして、半導体搭載率もはるかに低い“機械製品”である。だから、今までも半導体産業をけん引することはなかったし、今後使用量が増えたとしても価格競争が厳しくなるため、半導体産業をけん引するほどのインパクトはないだろう。
将来は、日本勢が得意とする、プログラム通りに同じ動作を繰り返し、作業員に替わって単純作業をこなす産業用ロボットよりは、自律的に行動する民生用(サービス)ロボットが成長すると期待されている。そこに人工知能が搭載されるようになれば、状況は一変する。半導体がロボット産業を主導するようになり得るのだ。そうなれば、ロボット産業の成長が半導体市場の成長をけん引することになるだろう。この点については、質問3の回答でさらに触れる。