今回のテクノ大喜利では、「新時代を迎えるロボット産業と半導体」をテーマに、世界的に急速に熱を帯び始めたロボットの技術開発と産業育成の動きと、半導体産業の関わりについて議論している。半導体ユーザーの視点から某ICT関連企業のいち半導体部品ユーザー氏に回答を頂いた。

いち半導体部品ユーザー
某ICT関連企業
ICT関連企業で装置開発に必要な半導体部品技術を担当。装置開発側の立場だが部品メーカーと装置開発の中間の立場で両方の視点で半導体部品技術を見ている。

【質問1】ロボット産業の成長は、半導体市場の成長をけん引するインパクトがあると思いますか?
【回答】半導体市場の拡大効果を多品種化が分散させてしまいインパクトは小さい

【質問2】ロボット産業の成長は、どのような半導体メーカーに新たなビジネスチャンスをもたらすと思いますか?
【回答】多様化するロボット産業の中で、共通、基盤技術になる製品を抑えた半導体メーカー

【質問3】半導体メーカーがロボット向け半導体事業を育成する場合、戦略策定時に参照できる類似応用市場は何だと思いますか?
【回答】医療、食品、物流など、多様性に対応してきた産業

【質問1の回答】半導体市場の拡大効果を多品種化が分散させてしまいインパクトは小さい


 ロボット産業の成長に伴って、半導体市場は確実に拡大する。パソコンやスマートフォンでは、機器市場の拡大がその製品に使用する半導体部品の消費量を増やし、半導体市場の成長につながった。これに対しロボットでは、半導体消費量の拡大と同時に、求められる半導体の種類も多様化する。特定の半導体製品、または同等機能の半導体製品だけが急成長するという状況は、生まれないだろう。

 半導体市場の成長を加速させるためには、半導体製品を大量生産できなければならない。しかし、ロボット産業で求められる半導体製品は、多品種になり、市場拡大の効果が分散されてしまう。このため、大きなインパクトに至らないのではないかと考える。