今回のテクノ大喜利では、「新時代を迎えるロボット産業と半導体」をテーマに、世界的に急速に熱を帯び始めたロボットの技術開発と産業育成の動きと、半導体産業の関わりについて議論している。技術のトレンドを俯瞰する視点から微細加工研究所の湯之上 隆氏に回答を頂いた。

湯之上 隆(ゆのがみ たかし)
微細加工研究所 所長
湯之上隆(ゆのがみ たかし) 日立製作所やエルピーダメモリなどで半導体技術者を16年経験した後、同志社大学で半導体産業の社会科学研究に取り組む。現在は微細加工研究所の所長としてコンサルタント、講演、雑誌・新聞への寄稿を続ける。著書に『日本半導体敗戦』(光文社)、『電機・半導体大崩壊の教訓』(日本文芸社)、『日本型モノづくりの敗北-零戦・半導体・テレビ-』(文書新書)。趣味はSCUBA Diving(インストラクター)とヨガ。

【質問1】ロボット産業の成長は、半導体市場の成長をけん引するインパクトがあると思いますか?
【回答】わからない

【質問2】ロボット産業の成長は、どのような半導体メーカーに新たなビジネスチャンスをもたらすと思いますか?
【回答】ロボットを自ら定義できるメーカー

【質問3】半導体メーカーがロボット向け半導体事業を育成する場合、戦略策定時に参照できる類似応用市場は何だと思いますか?
【回答】 SoC、MEMS、IoTなど

【質問1の回答】わからない


 「わからない」とした理由は、ロボットの定義が明確ではない上、どんなロボットがどのくらい普及するか予測できないからである。

 例えば、ロボット研究者の一人で東京工業大学 教授の広瀬茂男氏は、「ロボットとは、生物から得られたインスピレーションを基本とし、それを工学的に実現するために、あらゆる科学技術を結集することで創造される生物的機能体である」と考え、「生物的な機能を有する未来機械」と定義している。なぜ、「未来機械」などと言う曖昧な表現をするかというと、「ロボットを明確に定義できない」からだという。

 ところが、「機械(マシン)」に限定できるかどうかもあやふやである。宇宙物理学者で神戸大学 名誉教授の松田卓也氏は、著書『2045年問題 コンピュータが人類を超える日』(廣済堂新書)の中で、「人工知能などのソフトウェアは、ロボットを略してボットと呼ぶ」と書いている。ウィキペディアでも、コンピューター言語によるプログラムやソフトウェアも、インターネットの情報を自動検索するソフトウェアも、命令すると結果・情報が返されることから、ロボットであるとしている。

 結局、ちょっと調べた限りでは、広義にはロボットとは、「なんらかの作業を、ある程度の工程なり手順なりを自動的かつ連続的に行うもの」と定義できるかもしれない。