期待と不安を抱えたままでスタートした薬機法(医薬品医療機器等法)発効から8カ月あまりが経過した。大幅な規制緩和を期待した産業側からの視点でいうなら、それが現実問題として実感できていないというのが大方の見方だ。本稿では、一つの切り口として、医療機器規制の国際整合の面からの実情について記述しておきたい。

厚生労働省発表の歓迎すべき事例から

 「日本による医療機器の品質確認結果がインドで受け入れられるようになりました」――。

 2015年7月6日に厚生労働省のホームページで公表された報道発表だ。この発表のサブタイトルは、~日本の医療機器の輸出促進やインドの保健医療への貢献に期待~となっており、産官をあげて大歓迎であることは言うまでもない。

 かいつまんで言うならこうなる。インドではかねて日本の医療機器輸入に際し、ISO13485に関わる適合証明書を求めていた。ところが2015年7月1日より、PMDAや登録認証機関が実施した品質保証に関わる適合性調査の結果だけで、これに代替えできる処置がとられるようになったのだ。

 そうした経過に至るまでに、厚生労働省、PMDAをはじめとする両国の関係諸機関の並大抵ではない努力があったことは、行間の記述からも容易に推定できる。一業界関係者としても、非常に喜ばしい事例となったと感じている。

 本来、国際的な医療機器整合性に関しては、GHTF(Global Harmonization Task Force;医療機器規制国際整合化会議)を通して、前向きな調整活動が図られてきた。とはいえ、個別の関係国との相互理解が一気に合意されるような甘いものでない。

 よって、今回の事例がたとえインド1カ国との間で成立したものとはいえ、その意義の大きさは、賞賛されるべきある。引き続き、同様の事例が継続されることを期待したい。