三反田 経由地になると関税が取れますしね。

前田 そうなんです。これまでのハブはバンコク、香港だったんですが、これからはカンボジアのプノンペンもがんばっていくでしょうね。この先に物流ハブがどうなるかは面白いところです。

三反田 フィリピンや韓国のように内需が小さいところは海外を視野に入れざるを得ないわけですが、その文脈で、日本はこれから地方の時代が来るんじゃないかという印象があるんです。

 例えば鳥取は人件費が一番安い県の一つです。そこに工場をつくり外国人を雇用するというのもいい。土地も安いので、コンビニやカフェのサービス業を安い費用で運営することができます。鳥取なら山や海の産物も豊富ですから、行政と民間が一体になって、地域ごとの集客戦略を立てていくべきだと思うんですよね。

谷川 確かにね。僕は広島、山口がすごく好きなんですが、どんどん人が住まなくなって廃れていってしまう。ここをうまくやれるといいですよね、絶対に。

三吉 代表取締役社長の前田佳孝氏(写真:加藤 康)
前田 佳孝(まえだ・よしたか)。三吉 代表取締役社長。1970年生まれ。1994年に関西学院大学経済学部を卒業後、コクヨに入社。1999年に三吉入社。2005年に取締役、2010年12月から現職。高校・大学とラグビー部に所属。1997年から9年間、関西学院大学ラグビー部のFWコーチとして母校の後輩を指導した。(写真:加藤 康)
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前田 地域での外国人雇用というのはすごく可能性があるように思います。うちの会社でも今10人のカンボジア人が日本で研修しているんですが、外国人技能実習生の枠組みで来ると地方の最低賃金で雇用できるので、人件費は安く抑えることができるんです。外国人労働者の枠を拡大するのは国の方針ですから、これからも規制緩和は進むでしょう。

 だったら各地方でどーんとものづくりの工場をつくってしまって、外国人労働者を受け入れるといい。1000人単位で受け入れれば、周辺のショッピングセンターやコンビニ、外食産業を中心に活性化が進むんじゃないでしょうか。

リアル開発会議 業務用家具の製造に特殊なノウハウはあるんですか。

前田 家庭用家具に比べると強度、耐久性が一番問題になりますね。特にイス。木の接合部分の「ほぞ組み」にノウハウが詰まっていて、そこが強度のポイントになります。

 一時期、日本の大手外食産業が「強度なんていいから安く早く作れ」と中国に直接発注していたことがあったんですが、本当にすぐ壊れてしまうんです。それでもう一度日本のしっかりした家具メーカーに頼もうという流れになりました。

 業務用家具の業界は、資本の大きさはあまり関係がないんですよね。家庭用家具だと大量に作った家具を展示して買ってもらうので、お店を構えて広告宣伝から始めなければならず、大資本が有利なんですが、業務用ならそうした投資がいりません。