最近、データを長期に保存する「アーカイブ」用途で利用する記録メディアの話題で、2つ驚いたことがあります。

 1つは、太陽誘電が「CD-R」や「DVD-R」、「BD-R」といった光ディスクの製造を2015年内で終了すると、同年6月に発表したことです(発表資料)。同社のCD-Rを愛用していた私にとって、非常に驚いたというよりも残念な発表でした。恐らくこのコラムをお読みいただいている読者の方にも、パソコンのアーカイブ用として光ディスクを利用している方が多いと思います。

 もう1つは、ストレージの業界団体SNIAの資料に、「コールドストレージ(cold storage)という用語は定義が定まっていない」という文言を最近見つけたことです。「えっ、そうだったの!?」と、少なからず狼狽しております。

†SNIA=SAN/NAS関連の世界最大級の業界団体。1997年に非営利団体として米国で発足し、2001年に日本支部が設立された。

 とはいえ、SNIAの資料には、コールドストレージについて、「比較的アクセス頻度の少ないデータ(cold data:コールドデータ)を低コストで保存するストレージ」とあります。コールドストレージは、装置だけではなく、クラウドサービスといったものも含むと記述されています。要件としては「大容量/長期保管性/低消費電力」を満たすもので、いわゆる「アーカイブ ストレージ(Archive Storage)」とほぼ同じものです。

 ただし、この要件はあくまで項目として決まっているだけで、詳細は未定です。例えば、大容量とは具体的に何TBを指すのか、最低何年以上データを保管できればよいのか、消費電力をどの程度に抑えればいいのか、といった具体的な中身が決まっていません。

 一方で、実際に利用する装置(Cold Storage Device)のメディアの種類は決まっています。「HDD」、「テープ」、「光ディスク」の3種類を挙げています。このあたりの説明も、世間一般の見方と変わらず、違和感はありません。

 このようなアーカイブストレージの話題について、今回、取り上げたいと思います。