無形の部品仕様の次に考えるのは、有形の寸法諸元である。これは、固定費マネジメントに影響する部分である。ただし、全ての寸法諸元が固定費マネジメントに関連するわけではない。工程フローを整理し、工程ごとに作業や使用治具工具を明らかにすることで、どの寸法が影響するかをひも解くことができる。影響寸法が見えれば、作業内容/治具/工具のラインアップを考慮し、できるだけシリーズ化していく。影響のない寸法は設計者の自由に任せるのである。設計の自由度を保つ寸法と固定費マネジメントで制約を設ける寸法の切り分けが必要である。

 今までの図面標準化は、固定費マネジメントに影響する寸法かどうかは関係なく、図面の全寸法を1セットにしてシリーズ化/固定化してしまっていたことが問題である。これは設計と製造が共同で工程フローを明確にする必要があるし、できるだけ自由度を保ちたい設計とできるだけ固定化しておきたい製造の利害の調整が必要である。難しい内容であるが、一つひとつ問題を潰していくことで確実に整理できる領域である。

自由と制約のバランスのイメージ
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今回のまとめ
・設計標準化は、設計高度化の実現において必須の取り組みだが、「総論賛成・各論”大”反対」のテーマである
・標準化において、大は小を兼ねるという概念では競争力を保てず、結果として使われない標準になることが多い
・図面標準化は原因追求をしていない不具合対策のようなもので、設計のやり方を標準化するような設計ルールの標準化の取り組みが必要となる