この標準図というものが曲者である。標準図の組み合わせで製品を設計するには、製品全体をユニットに分け、さらにユニットごとに幾つかのバリエーションを設け、バリエーションごとに標準仕様や標準寸法を決めて図面を整備していくことになる。この標準仕様/標準寸法を決めるところで大きな問題が生じる。

 標準仕様/標準寸法を決めるというのは、個別の製品に合わせて設計者が自由に仕様/寸法を決めるのではなく、顧客要求を満たすような階段上の仕様値/寸法値を事前に用意することに他ならない。顧客要求を満たしつつ、部品を共通化して部品の種類を減らすには、「大は小を兼ねる」という考え方で標準仕様/寸法を決めることになる。

 とはいえ、「大は小を兼ねる」という考え方では、コストや重量などの面でムダが発生してしまう。単純に「大は小を兼ねる」というだけの設計標準化では、確かに競争力が奪われるのである。やはり、性能や寸法を顧客要求に対する最適値で設計できなければ競争力は付かないのである。

標準図の問題点
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