前回は、プロフィタブル・デザインのキーファクターの一つである「設計高度化」について解説した(もう一つのキーファクターは「固定費マネジメント」)。この設計高度化とは、設計ナレッジを常に改訂し、全員力で設計を改善していくことだ。そのためには、設計ナレッジを可視化・標準化しなければならない。設計標準化は設計高度化のベースであり、避けて通れないテーマである。

 近年、設計標準化に関しては、独Volkswagen社の「MQB」やトヨタ自動車「TNGA」など自動車業界の取り組みが目立つ。それ以外の業界でも、多くの企業が設計標準化は必要だと考えているし、挑戦すべきテーマだと口をそろえる。

 しかし、設計標準化は、30~40年前から叫ばれ続けてきながら、なかなか定着しないテーマでもある。口では挑戦すべきだといいながら、実際にはやりたくないという設計者も少なくない。いわゆる「総論賛成、各論反対」の代表例なのだ。

 多くの企業が必要性を認識しているにもかかわらず、設計標準化はなぜうまくいかないのか。そもそも、設計標準化はどうあるべきなのか。そして、設計標準化を進める上でどのようなポイントに気を付ければいいのか。今回は、それらを解説していく。