自宅を短期宿泊用にレンタルするのを仲介する「Airbnb(エア・ビー・アンド・ビー)」が、地元サンフランシスコで強い逆風にさらされている。

 Airbnbと言えば、「シェアリングエコノミー」の代表例であり、ビジネス的にも成功を収めている。ところが、ビジネスが広がったことによって、サンフランシスコの住宅問題をさらに深刻化させているという批判が高まっているのだ。

 サンフランシスコは今、ひどいバブルのさなかにある。IT産業が栄えているのがバブルの域に達しているのかどうかはさておいて、住宅市場は確実にバブル化している。家やアパートの価格が急上昇し、賃貸料も普通の人では支払えなくなっているのだ。先だって知人に聞いたところでは、ワンルームのアパートが1カ月3000ドルもするらしい。

 サンフランシスコ市内にテクノロジー関連企業が増えたことや、郊外のシリコンバレーに勤めている若者がサンフランシスコに住むのを望むようになったことなどが背景にある。高給取りの彼らをあてにして、地価や賃貸料が値上がりを続けているというのが定説だ。それに加えてAirbnbの人気も、地価高騰を加速させているらしい。

良いAirbnb、悪いAirbnb

 関係者は、Airbnbを「良いAirbnb」と「悪いAirbnb」に分けて捉えるのだという。前者は、ごく普通の住人が自宅の余っている部屋を旅行者に貸し出し、ちょっとした収入を得るというもの。旅行者は地元住民であるホストの親切な手引きによって、町の情報を得たり、時にはホストが焼いてくれるパンケーキを朝食でごちそうになったりする。こちらは、Airbnbが当初から描いたようなシェアリングの姿で、ホストと旅行者の間に心の通い合いがあるようなケースだ。

 一方、悪いAirbnbは、シェアリングとは名ばかりのビジネスに成り果てているケース。Airbnbの旅行者目当てで家を買い、そこを年中貸し出す。ほぼホテルビジネスと言っていいのだが、ホテル経営のライセンスも取っていないようなケースである。