上手いことを言うものだ。上司の良し悪しは三日で分かるが、部下の出来は、少なくとも三年間付き合わないと分からないと言うのである。

 確かに、そうではないか。ここだけの話(と言いながら、このコラムを読んでくれる人は多い。笑)、私も仕事で出会った人やクライアントの方々を見ていると、本当にそうだろうと思うのである。

 では、なぜ上司は三日で分かり、部下は三年も分からないのであろうか。

 それは多分、人間の鎧(よろい)がそうさせているのではあるまいか。それも、この鎧とは、ただ着ているだけの鎧ではない。見掛けではない、心の鎧なのだ。

 解説しよう。そもそも上司という者は、部下に対して何の備えも防御も不要である。第一、自分の言うことは大体通るし、例え間違っても、「悪かったな」で済ませてしまう。中には、その、悪かったな、を言わない上司もいるから厄介だ。

 だから、いつも上司は部下に対してはノーマーク。特別な注意や警戒もしないし遠慮もしない、言わば、完全無防備状態なのである。

 理解はできる。部下よりも大概は年上で社歴も古い。いわゆる先輩というヤツで、業績はともかく、それだけで偉いのである。だから、偉い者は何を警戒することなく、言わば丸腰(まるごし)、丸裸で部下と向き合うということだ。

 例えは悪いが(いや、レディがいたら大いに失礼!)、フルチンで風呂に入っている状態なのである。よく言えば裸の付き合いだが、素っ裸なのだから、何も隠すことのない文字通りのスッポンポン。要するに、身も心もすっぴんなのである。