日経テクノロジーオンラインのテーマサイト「設計・生産」における2015年6月12日~7月14日のランキング1位は、「黒焦げのトイレは何を語る」でした。LIXILの製品安全ダイアログを取材した際に見学した同社資料館の「Safe Lifestyle Gallery」について触れたものですが、「黒焦げ」というキーワードが読者の関心をひいたようです。

 5月から始まった新連載「『出る杭』コンサルの眼」も2位(ソニーの「本質」回帰は、まず経営陣から)、3位(ソニーよ、「昔」ではなく「本質」に回帰せよ)と引き続き好評を得ています。「ソニーの中期経営方針に物申す」とのサブタイトルの付いたこの連載、ソニーへのダメだしは第5回でひとまず終了し、第6回からは視野を広げてソニーに限らず本質に迫るべきさまざまな企業や職種について考えていきます。出る杭を自認する横田氏の舌鋒に引き続きご期待ください。

品質低下に強い危機感

 今回のランキングで目立つのが、5位「ビッグデータ時代のものづくり品質革新」、9位「いまさらFMEAが人気のワケ」、10位「FTAを忘れて悩む慢性トラブル」、11位「6割弱が設計品質の低下を実感、人材確保とスキル養成が急務」など、品質関連の記事やコラムが数多くランクインしていること。品質低下に対する設計・製造現場の懸念が表れているようです。実際、取材していても”設計品質が下がっている”と嘆く声をしばしば耳にします。1位の「黒焦げのトイレは何を語る」も品質トラブルに関するものともいえます。9位と10位のインタビューで國井技術士設計事務所所長の國井良昌氏が言うように、FMEAやFTAといった決して新しくはない手法が改めて見直されているのも、そうした強い危機感を反映したものでしょう。「日経ものづくり」でも7月号で「甦れ、日本の品質」という特集を組みました。こちらも合わせてお読みいただければと思います。

 6位(会社が潰れても人生が終わるわけではない)と8位(面接で落とされても過度に落ち込む必要はない)には、「竹内 健の『エンジニアが知っておきたいMOT(技術経営)』」がランクインしています。実はこの連載、2011年2月にスタートした長期連載です。月に1~4回程度の不定期連載ですが、日本の産業論からSTAP細胞までさまざまな話題について、竹内氏独自の視点で切り込んでいます。ランキング入りしている上記2回では技術者と会社のあり方について考察しています。竹内氏は、「会社が潰れても人生が終わるわけではない」の最後にあるように「技術者であったら常に技術の世界ではトップでいること、それが可能になる環境を求め続けることが大切です」と言います。会社に依存するのではなく、「自分の道は自分で切り拓く」(「面接で落とされても過度に落ち込む必要はない」から)姿勢が技術者としての明暗を分けるとの主張が共感を呼んでいるのではないでしょうか。