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HOMEスキルアップどうした?!日本メーカーの品質 > 付加価値のカギを握る接着剤、「軽視」が招く致命的トラブル

どうした?!日本メーカーの品質

付加価値のカギを握る接着剤、「軽視」が招く致命的トラブル

エーピーエスリサーチの若林一民氏に聞く

  • 近岡 裕
  • 2015/07/13 14:15
  • 1/4ページ
エーピーエスリサーチの若林一民氏
エーピーエスリサーチの若林一民氏
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 接着剤の重要性が今、かつてないほど高まっている。自動車分野では軽量化、電気・電子分野では環境および国際規格に対応しなければならないなど、新しい時代のものづくりの“カギ”を握っているからだ。こうした先端ニーズでは欧州に遅れをとっており、日本メーカーの技術者にとって頑張りどころとなっている。

 ところが、非常に重要であるにもかかわらず、接着剤を「副資材」と見なす技術者は少なくない。後回しや軽視により、思わぬトラブルに見舞われるケースは一向に減らない。今、接着剤を学ぶ必要性について、「技術者塾」において講師を務める、エーピーエスリサーチの若林一民氏に聞いた。(聞き手は近岡 裕)


──日本メーカーの技術者の間で接着剤の技術を学ぶ意欲が増しています。「技術者塾」でも、若林先生が講師を務める接着剤のシリーズ講座は人気です。日本メーカーの中で今、接着剤に関して何が起きているのでしょうか。

若林氏:1つは、自動車分野を中心に進む「軽量化」への対応です。キーワードは「異種材料接着」。これまで鋼やアルミニウム合金など金属で造ってきたクルマのボディー(構造用部品)を、樹脂に置き換える動きが加速しているのです。

 特に目立つのが、炭素繊維強化樹脂(CFRP)の実用化。欧州の自動車メーカーがボディーの一部にCFRPを採用したクルマを開発し、既に市場に投入しています。当然、金属同士ではないので、CFRPと金属を接合するために溶接を使うことはできない。従って、接着剤に頼ることになります。

 接着剤を使う利点は、接合面の耐久性を高められること。金属同士のスポット溶接では、各溶接点で応力集中が起きる可能性がありますが、CFRPと金属の接着では面で接着させるため、応力分散が可能です。

 クルマにおけるCFRPの実用化において、日本メーカーは欧州メーカーに遅れています。実用化する上では、当然、CFRPそのものだけではなく、接着剤の技術開発や使いこなすノウハウも蓄積する必要があります。そのため、異種材料接着の技術について習得を急ぐ日本の技術者が増えているのです。


──樹脂化という点では、欧州メーカーの方が日本メーカーよりも試験結果を重要視して大胆な決断を下す傾向が見られます。これではCFRPの実用化において後追いになってしまい、日本メーカーが逆転することは難しいのでしょうか。

若林氏:いいえ、日本メーカーにもチャンスはあります。現状のCFRPには課題があるからです。それは、プラスチックにエポキシ樹脂を使っていることです。「P=エポキシ樹脂」、つまり「CF+エポキシ樹脂」です。エポキシ樹脂は熱硬化性樹脂ですから、硬化すると不融・不溶になります。そのため、CFRP(CF+エポキシ樹脂)を構造用途に使った場合、リサイクルができません。炭素繊維と樹脂を分離できないからです。

 では、リサイクルできるものは無いのでしょうか。 熱可塑性プラスチックを使用した「CFRTP」を使えば、CFと樹脂を分けることができます。使用する樹脂は、熱可塑性樹脂の中でも熱硬化性樹脂に限りなく近い性能を備えたもの。具体的には、ポリプロピレン(PP)やポリアミド(PA)6、PA66、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などが候補として挙がっていますが、低コスト面から、第一候補はPPではないかと言われています。いずれにせよ、リサイクルに有利なCFRTPを実用化する上で、接着剤を使いこなすことが大切になります。

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