AppliCare2015は2015年7月5日、コンテスト参加学生などに向けて「AppliCare2015 seminar vol.2-あなたはそのアイデアに気づけるか-」と題したセミナーを東京大学GCLラボで開催した。講師には、お茶の水内科 院長の五十嵐健祐氏、ウンログ 代表取締役の田口敬氏を招聘。ヘルスケア業界でプロダクトを生みだす際のアイデアの見付け方についてご講演してもらった。

お茶の水内科の五十嵐氏(左)とウンログの田口氏(右)
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研修医時代の経験が基に

 「社会に臨床的価値を生み出してほしい」。そう語るのは、お茶の水内科の五十嵐氏だ。同氏はこれまでに複数のヘルスケアアプリを開発・リリースしており、そのすべてに臨床での経験が生かされている。

 五十嵐氏が開発したアプリの一つに、心房細動検出アプリ「ハートリズム」がある。心原性脳梗塞症の1次予防のために開発されたもの。iPhoneのカメラに備えているLEDを利用して、脈拍を読み取ることができるアプリだ。

 心原性脳梗塞症は、心臓にできた血栓が脳に達し、脳の血管が詰まることによって起こる脳梗塞。この病気の原因の約70%が心房細動と言われている。つまり、心房細動を見付けることができれば、心原性脳梗塞症を予防できる可能性が高まるのだ。

参加者に話をする五十嵐氏
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 五十嵐氏は「現代の医学を用いればその多くが予防できる脳梗塞で、多くの患者が救急車で運ばれてくる現実がある。何かできることはないかと考えていた」と、研修医時代を振り返る。こうした臨床での経験が、開発のアイデアにつながったという。

 アプリの出来については、「心房細動検出機能の感度は75%と、1次スクリーニングとしては満足している」と語る一方で、「このようなヘルスケアアプリは、あくまで1次予防であり、異常が見つかり次第、確定診断を行うために医療機関へとつなげる必要がある」と五十嵐氏は強調した。