台湾ASUSTeK社(華碩)が2015年7月8日、今年のノートパソコン(PC)の出荷目標を12%下方修正した。これまで2280万台としていたのを2000万台にしたもの。同社の2014年におけるノートPCの出荷実績2030万台を割り込む見通しに、お膝元の台湾では市場や業界に衝撃が走ったようだ。

 下方修正の理由としてASUSTeK社は、デスクトップPC・ノートPC需要の世界的不振を挙げ、2015年7月の見通しについても、ノートPCは需要低迷が続き、売上高は前月を下回ると予測。例年7月は欧米や中国の新学年に向けた商戦が盛り上がりを見せる時期だが、ASUSTeK社では、今年の7月は最盛期効果が期待できないとの悲観的な見方を示している。

 PCの販売低迷は、統計の上にも既に春先から表れていた。調査会社Gartner社は2015年4月9日、同年第1四半期のPC世界出荷台数が前年同期比5.2%減の7173万台だったと表明。減少の要因について米Microsoft社が2014年春、OS「Windows XP」のサポートを終了したことで起ったPCの買い替え需要の勢いが、2015年第1四半期に減速したことを挙げた。ただ同時に、この落ち込みはPC販売が長期にわたって衰退することを示すものではないと強調。中でもノートPCや、タブレット端末としても使えるハイブリッドPC、WindowsタブレットなどのモバイルPCは今後、出荷が前年から増加することもあり得るとの見通しを示していた。

 ところがその後も、PC出荷の先行きについて悲観的な見方が続いた。ノートPC出荷台数で2014年に世界第2位だった台湾Compal Electronics社(仁宝電脳)の陳瑞聡総経理は、2015年5月10日に開催した同社の投資家向け説明会で、「不景気のにおいが漂い始めた」と述べ、PCの売れ行き不振が長引きそうだとの見通しを示した。その理由として同氏が挙げたのは2点で、1つは為替レートが乱高下し中国株式市場がバブルの様相を呈するなど世界規模で経済が不安定な動きを見せており、景気の先行きを不安視する消費者がPC購入に慎重になっていること。もう1つはMicrosoft社が新OS「Windows 10」を発売するまでPCを買い控えている消費者が予想以上に多い、ということだった。