テキサス州オースティン市が運営する電力会社米Austin Energy社は今年4月に連系出力600MW相当のメガソーラー(大規模太陽光発電所)の一般競争入札を行った。5月中旬の公募締め切りまでに、なんと募集の約13倍に相当する8000MW(8GW)近くの応募があったと発表した。さらに、応募された8000MWの内、1295MW分の太陽光発電コストは何と4米セント/kWhを切ったという。

 さらに、ネバダ州で民営電力会社の米NV Energy社から似たような発表があった。同社は100MWのメガソーラーからの電力を3.87米セント/kWhで購入するという契約をしたというものだ。このメガソーラーは米ファーストソーラーによって現在開発中の「Playa Solar 2」である。

 オースティン市はテキサスの首都であり、人口は100万人以上に達する。同市運営の電力会社は全米にある地方自治体が経営する電気事業者(POU:Publicly-Owned Utilities またはMuni:Municipally-Owned Utilitiesとも呼ばれる)の中でトップ8に位置する。同市は地球温暖化対策として、太陽光発電を含む再生可能エネルギーの普及に向けた取り組みを今までに積極的に推進してきた。太陽光発電導入でも全米公営電力会社の中で7位である。

 同市のエネルギーに対するミッションは「クリーン」、「安く」、そして「信頼性の高い」エネルギーを提供することである。同市の電力会社Austin Energy社は販売量では電力自由化が行われているテキサス州で8位、販売額では4位に位置する。平均電気料金単価も大手民間電力会社と比べると1~2米セント/kWh低くなっている。

 同市は持続可能なコミュニティーを築き上げるため、2007年に「オースティン温暖化対策計画」を市議会で可決した。その中には2020年の目標を含める「資源、発電、温暖化対策計画」も含まれた。具体的に、2020年までに再生可能エネルギーによる電力の発電比率を35%にする目標を設定した。35%には200MWの新しい太陽光発電が含まれている。

 ちなみに、7月6日午後3時57分における、同電力会社のリアルタイムの電源構成をみると、20.5%が再生可能エネルギーからとなっていた。再エネの内訳は風力約95%、残りが太陽光発電となっていた(図1)。

図1●Austin Energy社のリアルタイムの電源構成(出所:Austin Energy社)