ソフトバンクロボティクスの人型ロボット「Pepper」が“1分で完売”する事態が続いています。2015年2月の初回生産分の300台、6月20日の1000台、7月31日の1000台、いずれも1分で完売したとのことです。

 日経テクノロジーオンラインのテーマサイト「新産業」の2015年上半期(1月~6月)のアクセスランキングでも、Pepper関連の記事が多くランクインしました(3位、9位、12位、16位)。多くはPepperの分解に関する記事です。

 Pepperは8月29日にも、またさらに1000台が販売される予定です。これが完売すればデベロッパー先行モデルや法人向けなどを含めると、累計出荷台数は約3500台以上となります。快進撃と言えるのか、それともまだ物珍しさでの購入が主体なのか、どちらが実態なのか今後の動向が注目されます。

 Pepperはよく「本体価格が19万8000円(税別)」であると言われますが、オンライン購入の場合、クラウド上の機能を利用するための「基本プラン」や修理サービスを提供する「保険パック」への加入は任意ではなく必須です。このため、合計金額は100万円以上となります。金銭感覚は人それぞれですが、お世辞にも「低価格」とは言いづらい値段でしょう。

 基本プランというと、さもスマートフォンのような月額の通信料金であるかのように思われがちですが、Pepperの基本プランと保険パックは「月額の料金」ではなく、3年間の契約料金がそれぞれ57万5424円、38万1024円となっています。Pepperは数万円ほどの月払いでも購入可能ですが、これはあくまで100万円以上の総額の割賦払いでしかありません。割賦払いですから、途中でPepperを廃棄しても100万円の支払い義務は残ります。

 仮に8月29日にも1000台が完売したとすると、ソフトバンクロボティクスには、Pepperを発売して以後の3年間で合計約39億円の売上が立つことになります(一般発売向けモデルのみカウント)。

 ソフトバンクが、Pepperの開発元であるフランスAldebaran Robotics社に出資した金額は1億米ドルと言われています。投じた資金をフルに回収するにはまだまだですが、着実に回収は進んでいるといったところでしょうか。

 Pepperが人々に飽きられずに、末永く売れ続けるかはさておき、少なくとも数年内には投資回収できる合理的な値付けであるとは言えそうです。