三条ものづくり学校を開設、将来は実学系大学の設置を

 寄り添うものづくりを具現化する第一歩として2015年4月には、三条市の企業とデザイナーやクリエーター、メーカーなどとのマッチングを図りながら、次世代にものづくりを継承する?場?となる「三条ものづくり学校」を開設した。

 閉校になった三条市立南小学校の建物を活用し、指定管理制度で事業を運営していく。東京都世田谷区にある「IID 世田谷ものづくり学校」を手掛けている民間企業のものづくり学校が運営を担当する。

閉校になった小学校を利用した三条ものづくり学校。月額5800円からのコワーキングスペースなどもある
閉校になった小学校を利用した三条ものづくり学校。月額5800円からのコワーキングスペースなどもある
閉校になった小学校を利用した三条ものづくり学校。月額5800円からのコワーキングスペースなどもある
[画像のクリックで拡大表示]

 同社 代表取締役の高山勝樹氏は「三条市の高い技術力を持つ中小企業群と、世田谷ものづくり学校の多くのデザイナーやクリエーターを積極的に結び付けて活性化を図りたい」と、付加価値を高めた新しい産業育成に向けた道筋を説明する。地域の子供や学生たちに向けてものづくりの魅力を体験してもらうワークショップや地域交流イベントなども積極的に開催していく予定だ。

 さらに、三条市は伝統技術なども学べる大学の開設を目指して動き出している。「三条市の企業にはさまざまな分野で高度な技術を持つマイスターがたくさんいる。次世代を担う若者がその技術を学べる実学系のものづくり大学を設置したい。これまでの大学とは概念が違うものになるはず。ぜひ実現させたい」。

 将来像をこう語る國定市長の「伝統のものづくり復権」に懸ける熱い想いは、経済危機を乗り越えて、夢から現実に変わろうとしている。

この記事は『リアル開発会議 2015 Spring/Summer』の特集「“伝統”と向き合う」を基に再構成しました。