「コペン」のプロジェクトで成果

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ダイハツ工業の「コペン」とコラボレーション。写真は三条ものづくり学校で展示したもの
ダイハツ工業の「コペン」とコラボレーション。写真は三条ものづくり学校で展示したもの
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 実際に、外部の人材を活用した連携は始まっている。例えば、ダイハツ工業が2015年1月に「東京オートサロン」で披露した軽スポーツカー「コペン」の展示が、その代表例である。

 炭素繊維強化プラスチック(CFRP)とステンレス鋼を用いたフロントフードやトレーラーをはじめ、車庫をイメージした壁面収納ユニット、本格的な工具などを、三条市の複数企業が連携しながら開発し、クルマを中心にした新しいライフスタイルの提案に一役買った。

 この取り組みでは、元トヨタ自動車のデザイナーで、znug design(ツナグデザイン) 代表の根津孝太氏が外部から風を吹き込む役割を担い、ダイハツ工業と三条市の企業を結び付けたという。数カ月にわたってダイハツ工業と開発製品について議論を続けてきた市内の企業連携体が、トレーラーなどを提案するプロジェクトをスタートさせる。

 フロントフードとトレーラーは、同市の外山製作所とシマト工業、板垣金属の3社が協力して作り上げたものだ。2014年9月にプロジェクトを開始し、わずか2カ月で仕上げた。「何か新しいことをやりたかった」と板垣金属の板垣薫社長は振り返る。

 「正直、最初は乗り気じゃなかった。けれど、途中から面白くなっちゃって」と外山製作所の外山裕一社長は笑う。「完成させてみると周囲の反響が大きく、いろいろと引き合いの声が掛かるようになった」と、同氏は手ごたえを話す。自社で最終製品を持つ醍醐味を三条市の企業が味わいつつあるのだ。

 今回の取り組みに協力した根津氏は、三条市のものづくりの集積を高く評価する。「技術的に困ったことがあっても、三条市に来れば、ほとんどすべてを実現できる。これは全国的に見ても大変すごいことだ」(根津氏)。