バブルと揶揄されるほど、一気に普及が進んだ太陽光発電。固定価格買取制度(FIT)の見直しによってバブルは弾けたとも言われますが、今後数年は現状のままハイペースの導入ペースが続くという見方が大勢です。ただし、これまでよりも収益性は低下する可能性があります。それが、無制限・無保証の出力抑制に伴うリスクです。FITのルール変更によって、大手電力会社の接続可能量を超えると、太陽光の出力を抑制しなくてはならなくなったのです。
日経テクノロジーオンラインのテーマサイト「エネルギー」の直近4週間(2015年6月2日~7月2日)のアクセスランキングでも、第1位は「『遠隔制御の導入、予測精度の向上で、出力制御率は下がっていく』、九州電力・能見執行役員」。能見氏の言葉からは、系統に流れ込む太陽光の運用の難しさと、出力抑制の現実味が伝わってきます。そして、17位には「九電、種子島の再エネ事業者に出力制御を指示、全国初」がランクイン。出力抑制は太陽光ビジネスの成否を左右する問題なだけに、関心の高さがうかがえます。
太陽光が一過性ではない本格普及期に入ったと感じさせられるのは、災害対策など長期にわたる発電量確保への関心が高まっていること。ランキング3位には「大雪の教訓で耐久性を高めた、標高660mの群馬県昭和村のメガソーラー」、5位には「伊勢崎市で300kWの太陽光発電設備が突風で倒壊、単管パイプ架台が崩壊」が入りました。初期費用の安さだけでなく、20年というFITの買取期間を通して発電量を担保するための方策に発電事業者の意識は移り始めたと言えそうです。
掲載当初、FITの買取期間に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。本文は修正済みです。 [2015/07/07]