ガンプラ(「機動戦士ガンダム」のプラモデル)が入荷するらしいぞ──。そんな噂が駆け巡ると玩具店や文房具店の前に小中学生の長い行列ができた時代があった。1980年代初頭のことだ。「押さないで」「1人1個だよ」と店主にいさめられながら、なけなしのお小遣いでガンプラを手に入れる。こうした思い出を持つ40~50代の男性は多いことだろう。

 「RX-78-2 ガンダム」「シャア専用ザク」「ゲルググ」「ズゴック」・・・。テレビアニメと同じイラストが描かれた箱をわくわくしながら開けて、プラスチック製の部品を取り出し、むさぼるように説明書を読みながら、組み立てる。

 そんなブームはすっかり過去の話かと思いきや、ガンプラ人気は今も健在だ。2015年3月期のバンダイのガンプラなどガンダム関連の売上高は約800億円。大ブームになった「妖怪ウォッチ」関連の売上高を上回っている。ガンプラの人気は、国内に加えて、海外でも高まっている。

 このコラムでは、35周年を迎えたガンプラの今を、国内で続けられている“ものづくり”を中心に多面的に紹介していく。その取り組みには、これから国内の製造業が進んでいくべき方向性のヒントが多く隠れている。