「ビズラボ」は、新ビジネスを創出するための講座である。講座といっても、いわゆる“お勉強”ではない。さまざまな業種から集った人々が自由闊達に議論を重ねながら、ビジネスプランを練り上げていく取り組みだ。社内の企画会議と最も異なる点は、参加者同士の先入観やしがらみがないこと。この環境に身を置くと、不思議なことに面白いアイデアが次々と出てくる。筆者自身、第2期生として参加したビズラボで、これを強く実感した。

 ビズラボでは、約20人の参加者が4グループに分かれて特定のテーマについて議論する。そのチーム分けに当たり、各参加者は講師の多喜義彦氏から「公開コンサル」を受ける。これは同氏が参加者と1対1で対話し、所属する組織の事業分野や得意技術、悩みなどを聞き出した上で、ビジネスプランの出発点となるアイデアを出すというもの。その後、たくさんのアイデアを参加者の投票によって四つに絞り込み、各参加者はいずれかに名乗りを上げることで、グループ分けとなる。ちなみに筆者は、第2期のBグループとなった。

最終発表の様子
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 多喜氏の口から飛び出すアイデアは、“すっとんきょう”なものばかりに思える。しかし、そのアイデアから議論を進めると、最終的には魅力的なビジネスプランになるから不思議だ。実際には、同氏は決して奇をてらっているわけではない。さまざまな業界の現場に自ら足を運んで見聞する中で見いだしたニーズがベースにある。世の中のニーズと公開コンサルで引き出した情報と結び付けることによって、将来性や実現性の高いアイデアに昇華させているのである。

 4グループに分かれた参加者は、グループごとに議論を重ねる。その後、中間発表を経てビジネスプランを練り直し、最終発表へと進んでいく。ここで大切なことは、ダイバーシティー(多様性)である。グループを構成するメンバーの業種や職種の多様性が刺激となり、互いに新たな気付きを得られる。先入観としがらみのない環境が、議論をどんどん深める方向ヘと作用するのだ。さらに、中間発表や最終発表でほかのグループや講師陣の指摘を受けて、ビジネスプランが一つ上のステップに上がることも多い。