2015年3月、Apple社が横浜市綱島のパナソニックの工場跡地に、大規模な技術開発拠点を開設すると発表した。2015年度内に建物の建設に着手し、2016年度から稼動する予定だ。開設する研究所は、1万2500m2の敷地に、4階建て延べ床面積が2万5000 m2と都心にある研究所としては、結構大規模なものとなる。アジアの中心的研究開発拠点として機能することになるという。

 このニュースには、今ひとつ釈然としない点がある。なぜ今、Apple社は日本に技術開発拠点を作るのかという点だ。日本の電子産業は、電子部品など一部を除いて、お世辞にも元気がよいとは言えない。ただ部品を買うだけならば、大規模な技術開発拠点を置かなくてもこと足りるようにも思える。この点について当のApple社は、多くを語っていない。

 今回のSCR大喜利では、Apple社の技術開発拠点を題材にして、現在そして将来の日本の電子産業の価値を再認識することを目的とした。ただし、Apple社から公開されている情報は少ない。このため、あくまでも回答者の視座から同社の動きを見た場合の解釈であることをあらかじめ断っておきたい。各回答者に投げかけた質問は以下の通り。

【質問1】
日本に研究所を置くことで、Apple社はどのようなメリットを得ると思われますか?

【質問2】
Apple社の研究所設置で生まれる機会を、日本のどのような業種の企業がどのように活用すべきと思われますか?

【質問3】
今回のApple社の動きは、海外の他の電子産業の企業にも波及する可能性のある動きなのでしょうか?

服部 毅氏
服部コンサルティングインターナショナル
「知財や人材を気前よく捨てる日本、まさに宝の山」参照

清水洋治氏
某半導体メーカー
「Apple社が進む市場、そこにはいつも日本企業がいた」参照

田口眞男氏
慶應義塾大学
「日本の家電産業はApple社に簒奪される可能性あり」参照

いち半導体部品ユーザー氏
某ICT関連企業
「日本の高品質文化を再評価する動きを期待」参照

南川 明
IHSテクノロジー
「日本から学べ、Apple社のDNAにはこう刻まれている」参照

表1●回答のまとめ
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