4月27日、東京エレクトロン(TEL)とApplied Materials(AMAT)社は、2013年9月に合意に至った経営統合を取りやめると発表した。独占禁止法関連の審査で、両社と米司法省との間に認識の違いがあり、許可が降りるメドが立たないことを理由に挙げている。統合スケジュールを3回にわたって延期した末の破談である。

 両社は統合をテコに、次世代技術の開発や大型投資で先行する戦略を描いていた。日米トップ企業を核にした製造装置業界の大型再編は水泡に帰し、戦略の見直しを迫られる結果になった。TELは、今後の方向性として、AMATと進めている開発面での協力を継続し、他社との提携も含めて柔軟に考えていくとしている。

 半導体微細加工技術をより進化させるための難易度は、急激に高まっている。その一方で、最先端の製造装置を導入できる体力のある企業がIntel社、Samsung Electronics社、TSMCなど一部に限定されるようになった。こうした製造装置産業の成長が極めて困難にしている状況は、破談が決まった後も変わらないままだ。

 製造装置業界のリーディング企業である2社の統合の破談によって失った未来、新たな可能性、今後すべき施策があるように思える。今回のSCR大喜利では、今回の破談が半導体業界全体に与える影響と今後の方向性を探ることを目的とした。各回答者に投げかけた質問は以下の通り。

【質問1】
2社の経営統合の破談によって、半導体の技術開発にはどのような影響が及ぶのでしょうか?

【質問2】
2社の破談によって、半導体業界の業界構造、事業モデルなどにどのような影響が及ぶのでしょうか?

【質問3】
半導体製造装置業界が抱える困難を克服するため、今後どのような戦略・施策が必要になると思われますか?

和田木哲哉氏
野村證券
「業界団体を中心にビジネスモデルの転換を急げ」参照

三ツ谷翔太氏
アーサー・D・リトル
「装置メーカーそれぞれの強みが問われる時代へ」参照

湯之上隆氏
微細加工研究所
「半導体ビッグ3の発言力はますます強くなる」参照

大山 聡氏
IHSテクノロジー
「お互いの内面を深く知った後の協業に期待」参照

表1●回答のまとめ
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