ひょんころビジネスとは…
新事業に計画は欠かせない。だが、計画通りに進む新事業など皆無。むしろ、ひょんなことから思わぬ方向に転がり、成長するものがほとんどではないか。そんなビジネスを「ひょんころビジネス」と名付けてみた。
リンカーズ 代表取締役 CEOの前田佳宏氏

 新しい製品を開発するとき、自社内や従来の取引先にはない技術が必要になる。だが、技術を持つ新たな取引先を探すのは容易ではない。そんな悩みを解決し、新規開発の礎となるマッチングサービスで急成長している企業がリンカーズである。

 社名と同じ、「Linkers(リンカーズ)」というサービスでは、技術を求める企業が匿名で大まかな条件に基づいて依頼を出すと、各地域の中小企業と密着しているコーディネーターが、有望な企業を推薦してくれる。依頼した企業は、集まった情報を基に候補企業を絞り込み、社名と詳細条件を明かして、最終的な契約を結んでいく。

 2013年10月のサービス開始後、わずか1年で100件以上の依頼があり、マッチング成功率は90%を超えた。利用者には、トヨタ自動車やパナソニック、富士フイルムなど大手企業が名を連ねている。

 だが、このサービスの開始には二転三転の苦労があった。企業向けSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)に端を発し、ウェブ展示会を経てたどり着いたものだ。同社代表取締役CEOの前田佳宏氏にこれまでの経緯を聞いた。

(聞き手は、中道 理=日経エレクトロニクス、狩集浩志=リアル開発会議)