「Noと言わない」「責任のない開発」がグループワークを目覚めさせる

 グループワークは多喜さんによる公開コンサルティングからスタートします。多喜さんが、インタビュアーとなって、参加者の企業概要や課題を聞き出し、即興でビジネスのアイデアを抽出します。そのアイデアを参加者によるグループワークで膨らまし、1カ月半後の最終報告に向けてビジネスコンセプトに仕上げていく流れです。

 グループワークのルールは、「Noと言わないこと」、「責任のない開発」の実践です。これは、ビズラボの開始から修了式まで、常に伝え続けられる考え方の方針でもあります。他の参加者からNoと言われないので、アイデアの芽が摘まれることはありません。「それいいね」という肯定のスパイラルによって脳が活性化されます。

 また、この段階では「責任がない」ので、実現性/失敗のリスクを問われることがないため、それは本当につくることができるのだろうか、投資に見合う成果が得られるのだろうかという思考のプレッシャーから解き放たれ自由にアイデアを出すことができるのです。

 この考え方を通常の業務に置き換えると、アイデアを発散させるフェーズでは「Noと言わないこと」と「責任のない開発」を検討時のルールとして持ち込み、ブレーンストーミングを行うことで、アイデアがより膨らむのではと感じました。

 後編では、このアイデア創発のきっかけから抽出されたサービスコンセプトが生まれたのか、そしてこのビズラボから考えられる共創創発のヒントをご紹介します。

あしたのコミュニティーラボに掲載された記事を再録しました。
「人にやさしい豊かな社会」の実現に向けて、多様なプレーヤーが共に新たな価値を創出したりアクションを起こしたりすることを促進するウェブメディア。取り組み事例や識者の提言といった記事の掲載、座談会をはじめ各種イベントの開催、SNSを活用した議論の場の提供など、幅広い活動を展開している。2012年4月に開設した。運営は富士通。
遠藤大祐(えんどう・だいすけ)
富士通総研 産業・エネルギー事業部、あしたのコミュニティーラボ 編集部
富士通総研産業・エネルギー事業部コンサルタント。2009年の入社以来、主に製造業向けの業務改革、新規事業創出のコンサルティングに従事してきた。その傍ら、あしたのコミュティーラボ編集部でも「共創」活動の場づくりを支援している。