先日、中国のEMS(電子機器受託製造サービス)大手の幹部を取材した時のこと。本題が終わって雑談に入り、「最近は何の仕事が忙しいですか?」と話を向けた。

 同社はスマートフォン(スマホ)やスマートメーターの受託製造に強い企業。うちスマホでは韓国Samsung Electronics社向けだけでピーク時には年3000万台も製造していた。また、中国を率いる習近平国家主席の夫人、彭麗媛氏が愛用していることで話題になった中国ZTE社(中興通訊)の「Nubia Z5 mini」の製造でも注目されている。

 「そうですね、中国のお客さんからの新しく入った仕事が忙しいですね。スマホかって? ええそうです。どこのかって? いやあ、それは……。ヒントだけでも? ハハハ、まあいいじゃないですか」と幹部ははぐらかす。

 同社の中国のお客さんというとZTE社とHuawei社(華為)が2大顧客だが、ZTE社は昨年、少し勢いが鈍った。Samsung Electronics社もスマホ事業の低迷が言われている。それだけに、飛ぶ鳥を落とす勢いの中国Xiaomi社(小米科技)からの受注は当然狙っているだろうし、既に営業はかけているのではないだろうか。そう踏んで、「ついにXiaomiから受注ゲットですか?!」と振ってみた。

 するとこの幹部、「いやあ、Xiaomiはフォックスコンが強くてねえ……」。フォックスコンこと台湾Hon Hai Precision Industry社(鴻海精密工業)の厚くて高い壁を壊すのは容易なことではないようだ。