体に着けっぱなしにする電子機器である「ウエアラブル機器」。現在、IoTの一翼を担う機器として、エレクトロニクス業界では成長株の1つとみなされている。人気もある。例えば、Apple Watch。まだ進化の途中段階のようだが(日経テクノロジーオンライン関連記事1)、最近はセミナーやイベントの集客用アイテムとしてiPad miniと肩を並べるようになった。実際、先週、米国で取材したイベント52nd Design Automation Conference(2015年6月7日~11日、サンフランシスコで開催)でも、参加者に抽選でApple Watchが当たるセミナーが複数あった。

 その52nd Design Automation Conference(DAC 2015)の最初の基調講演で紹介されたのは開発中のウエアラブル機器だった。米Google社のDirectorであるBrian Otis氏が紹介した「スマートコンタクトレンズ」がそれである(日経テクノロジーオンライン関連記事2)。一般的なコンタクトレンズと同じ大きさの透明な半球に、パターンアンテナやIC、キャパシター、MEMSセンサーが集積されている。コンタクトレンズを着けることに抵抗がなければ、講演者が語ったように「究極のウエアラブル機器」の1つと言える。

 ここまでウエアラブル機器を盛り上げておきながら恐縮だが、筆者は「ウエアラブル機器を着けたくない派」である。スマートフォンを持つようになってから、腕時計をしなくて済む解放感に満足しているのが筆者だ。Apple Watchに比べて初動に多少の時間はかかるものの、大抵のことはスマートフォンでこなした方がずっと楽だと考えている。