「実はプロの漫画家になりたかったんですよ~」
「えっ!?」
 2015年1月初旬。米国ラスベガスで開催された「2015 International CES」で取材していると、取材相手から予想外の答えが返ってきた。その相手とは、スタートアップ企業FOVE(フォーブ) 代表取締役社長の小島由香氏である。同社は、視線入力機能に対応した、VR(仮想現実感)用ヘッドマウントディスプレー「 FOVE 」を手掛けており、VR業界を中心に注目を集めている。そんなFOVEがCESに出展していたことから、改めてFOVEを起業した経緯やCES出展での手ごたえ、今後の展開などを聞いていると、冒頭のような回答をいただいたわけである。

 小島氏は、FOVEを起業するまで、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)やグリーに在籍しており、ゲーム畑を歩んできた。ゲームと漫画は相性がいいものの、まさかプロの漫画家を目指していたとは思わなかった。想定外の回答に、興味は一気にそちらに向かう。聞けば、週刊漫画誌などを発行する某大手出版社に認められて担当編集者までついて、デビュー手前までいったという。それならばと、
「ぜひうち(日経テクノロジーオンライン)で連載して下さい!」
と依頼すると、
「えっ、いいんですか、ぜひやります!」
と、小島さんの反応も予想以上に好感触。

 これがきっかけになり、小島氏の描く「起業実録漫画」を掲載する運びとなりました。

 ちなみにご自身いわく、いわゆる「腐女子」とのこと。確かにCESで、FOVEの出展ブースの場所について話しているときに、
「ホールの端でいい場所だと思ったんですが、(人通りがそれほど多くなく)予想していたほどじゃなかったんですよね。『コミケ』ならいい場所なんですが」
と話していた。

 お分かりにならない方に向けて簡単に説明すると、世界最大級の同人誌即売会「コミックマーケット」では、同人誌の購入のために長い行列ができる、いわゆる「有名サークル」は、その行列をさばくために会場ホールの端に位置する。小島氏の発言は、そのことを指している。

 というわけで、「アントレプレナー(起業家)腐女子」が描く世界初(?)の「起業家マンガ」、をぜひご一読ください。小島先生の漫画を読めるのは、(今のところ)日経テクノロジーオンラインだけ!
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