EVを電力網の安定化対策に利用し、導入・維持コストを削減
EVを電力網の安定化対策に利用し、導入・維持コストを削減
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 米国では、電動自動車(EV)普及を支援するために政府機関がいくつもの施策を実施している。この動きの背景には、気候変動対策を理由にEV普及を支援する米国の議員層の影響がある。例えば、米国連邦政府やいくつかの州政府がEV購入の支援金を用意したり、EVの充電インフラを支援したりしている。

 さらに今後、電力網への対策からEV1台ごとに1年間に248~1800米ドルに相当する、もう一つの意外なEV支援金が登場しそうだ。電力網関連への対策と政府の施策の大きな違いは、政府の予算から資金を下ろす必要がないことだ。支援金は、電力需要を下げたり、電力網の電圧を安定させたりするサービスを元に支払われることになりそうだ。

 特に、後者は電力網を安定させるために電力の供給と需要を平準化させることができる。一方、前者は、これまでの需要に合わせて供給側を変動させることで電力の需給バランスを一致させていたのに対し、需要家が需要量を変動させて電力の需給バランスを一致させるもので、Demand Response(DR)という。電力の需要が高いとき、例えば真夏の暑い日、コストの高い発電所の運用を避けることができる。

 米国には、複数の電力市場が存在するので、地域によって対策が異なるが、ある地域の電力事業者はこうしたサービスのためだけにお金を支払うことが可能だ。電池など蓄電できる設備があれば、この市場に参加ができる。発電が不安定の再生可能エネルギーが増えるほど、こうした電力支援サービスが重要になると予測されている。既に幾つかのビルに電池をネットワークされた一つの仮想的な電池状態を想定して市場に参入する企業が登場している。