方式も異なる


 3D NANDの投入時期だけでなく、各社で選択している方式も異なります。Samsung社と東芝はそれぞれ、製造コストを抑制しやすい「チャージトラップ方式」を採用しました。チャージトラップ方式は、従来のNANDでは必要不可欠であった「浮遊ゲート」(電子を貯める“水槽”)を作らずに済ませ、むしろ邪魔な存在であったトラップを積極的に活用する方法です。これにより、積層化(3D化)を実施しやすくして製造コストを抑制できることが特徴です。

チャージトラップ方式
東芝とSamsung社のチャージトラップ方式の違い

 ただしチャージトラップ方式は、従来邪魔だったトラップを利用しようとする技術のため、このトラップを均一な品質で製造できるかどうかや、製造過程でいかにコントロールするかが非常に難しいとされています。

 一方、「浮遊ゲート方式」の3D NANDを共同で開発しているのが米Intel社と米Micron Technology社です。浮遊ゲート方式は、従来のNAND製造で使用されてきた方法なので十分な実績があります。

 ただし、浮遊ゲートという“水槽”を必要とする構造なので、各層の厚み(高さ)が大きくなり、チャージトラップ方式よりもコストを下げにくいとみられています。そこで、1つのメモリセルに3ビットの情報を格納する「Triple Level Cell (TLC)」を積極的に採用するようです。