ストレージ業界のニュースや最新動向、トラブルシューティングなどについて、インサイトテクノロジーでITアナリストを務める浅野浩延氏に解説していただきます。
インサイトテクノロジー ITアナリスト
「Open-Channel SSD」をご存知でしょうか。今後10年間のストレージ業界の動向を占う上で、知らないわけにはいかないキーワードです。それはなぜか。フラッシュメモリーだけで構成したストレージ装置「オールフラッシュアレー」を劇的に安価にし、普及を促す「起爆剤」になり得るからです。
2017年8月に米Intel社が発表した、新しいSSDのケース仕様「Ruler」がストレージ業界で注目されています。現在のSSD製品が抱える課題を解決する手段と目されているからです。
今後は階層化技術に注目
2017年3月にIDC Japanが発表した調査では、2016年通年の国内「外付型エンタープライズストレージ装置」の支出額で、SSDで構成する「オールフラッシュアレー」が前年比84.3%増、SSDとHDDで構成する「ハイブリッドフラッシュアレー」は同7.7%増、HDDで構成する「オールHDDアレー」…
ストレージをHDDからSSDに置き換える主な理由はこれまで、高いデータ伝送速度と低い発熱量を両立できることでした。極論すれば、SSDを利用している限り、あまり熱対策を考える必要がありませんでした。この状況は今後大きく変わります。一般には、高速になるほど消費電力が増えて、発熱量が増えます。最近のSSD…
やや旧聞になりますが、2016年6月に米Apple社が同社のスマートフォンやタブレット端末に向けたOS「iOS」や、パソコン向けOS「MacOS」に向けた新しいファイルシステム「Apple File System(APFS)」を発表しました。一見すると、そのインパクトはわかりにくいかもしれません。で…
平面(2D)での微細化が進んできたNANDフラッシュメモリー。最近では微細化に限界があるとして、NANDを積層して(上方向に積み上げて)面積当たりの容量を増やす「3D NAND」に移行しようとする動きが活発化していました。
今回は、2016年2月に開催されたストレージ関連の学会「FAST’ 16」(「14th USENIX Conference on File and Storage Technologies」)の最優秀論文に選ばれた、米Microsoft社の「Environmental Conditions and …
前回に引き続き、今回も米Google社が公開した論文を題材にしたいと思います。その論文とは、前回タイトルだけ紹介した「Flash Reliability in Production: The Expected and the Unexpected (現場環境でのフラッシュメモリの信頼性: 予想通りだ…
2016年に入ってから、大規模なデータセンターを運営する大手IT企業が立て続けにストレージ関係の「論文」や「提言」などを発表しています。中でも、ストレージ業界で注目を集めたのは以下の3つです。
筆者が某外資系企業に入社したころの話です。ある新製品の顧客向け説明資料に、「現時点で実現している機能」と、「次のバージョンで実現予定の機能」、そして「(具体的にいつか分からないが)将来のバージョンで実現したい機能」の3つが、巧妙(?)に一緒になっているのを見て、辟易したことがあります。理想は高いの…
SSDをより良く利用するには、SSD側だけの努力ではなく、OSなどの使い手側の機能拡張や、SASやSATAといったインターフェース規格の仕様拡張が必須です。過去にSSD向けにOSで拡張された機能といえば、「Trimコマンド†」が代表格です。この機能は現在も拡張され続けています。現在、SSD向けの新し…
米Microsoft社が、同社のオンラインストレージサービス「OneDrive」における容量無制限という条件を撤廃することを2015年11月に発表したことが、ストレージ業界で大きな話題になりました。この発表により「無料オンラインストレージの終焉」という記事が出てくるなど、議論を呼んでいます。
HGSTとIntelとの関係から読み解く
米Western Digital(WD)社は2015年10月、米SanDisk社を買収することを明らかにしました。この買収によるSanDisk社への影響や、SanDisk社のパートナーである東芝への影響が多く報道されています。ですが、あえて本稿では、SSD業界に与えるSanDisk社買収の影響を考察…
先日、あるお客様との会話の中で、「SSD対応のRAID(Redundant Arrays of Independent Disks)カード(ボード)」が話題に上がりました。このSSD対応のRAIDカードですが、“SSD対応”とうたっているにもかかわらずSSD向けにどのような機能を拡張すべきか、きちん…
さまざまな規格があるSSD用インターフェース。その中で今後も使われ続けるのは、「SATA(SATA Expressではない)」と「NVMe」の2つだと考えています。数年前まで、ほとんどの調査会社は、「NVMe(調査会社によっては、PCIeと表記)とSASが生き残り、SATA仕様SSDは減少していく」…
2015年6月に米Carnegie Mellon University(CMU)と米Facebook社が共同で、「A Large-Scale Study of Flash Memory Failures in the Field(フィールドでのフラッシュメモリ障害に関する大規模研究)」という論文を発…
HDDに比べたSSDの利点は、「高速、耐振動・衝撃性が高い、軽量、低消費電力」と考えられてきました。しかし、SSDの消費電力が少ないという話は注意しないといけません。
最近、データを長期に保存する「アーカイブ」用途で利用する記録メディアの話題で、2つ驚いたことがあります。1つは、太陽誘電が「CD-R」や「DVD-R」、「BD-R」といった光ディスクの製造を2015年内で終了すると、同年6月に発表したことです。同社のCD-Rを愛用していた私にとって、非常に驚いたとい…
2015年6月に台湾で開催された「COMPUTEX TAIPEI 2015」において、米Intel社は、「U.2」という2.5型SSD向けの新しいコネクター仕様を発表しました。国内でもU.2対応のSSD「Intel SSD 750」が店頭に並び始めています。大手SSDベンダーであるIntel社がU.…
データのバックアップの重要性は説明するまでもありません。さらにここ数年は、自然災害などが発生した場合でもなるべく業務を中断させない、というBCP(Business Continuity Plan、事業継続計画)の観点から、データバックアップの重要性が増しています。