静岡理工科大学大学院 理工学研究科 教授 やらまいかエデュケーションサイト長、創造工学センター長の高橋 久氏
静岡理工科大学大学院 理工学研究科 教授 やらまいかエデュケーションサイト長、創造工学センター長の高橋 久氏
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──モーターとインバーターを制御する上でのキーポイントは何ですか。

高橋氏:まず、モーターの特性を知ることが必要です。駆動するモーターの特性を理解せずにモーターを駆動しても、当然ながらモーターは思い通りには動いてくれません。その意味では人間のつきあい方と似ているかもしれません。人に仕事を依頼するときに、その人の性格や特徴をきちんと把握した上で依頼すると、仕事がうまく進むではありませんか。

 モーターの特性が理解できれば、次はモーターに電力を供給するインバーター回路を理解し、それを制御する信号をいかにつくるかが、高効率駆動のカギとなります。


──「技術者塾」では、どのようなポイントに力点を置いて説明する予定ですか。また、そこに力点を置く理由を教えてください。

高橋氏:現在もそうですが、これからはますます電子回路技術やロボットなどの制御システムによって人が助けられ、支えられる社会になることでしょう。こうした技術の先行きを見据えて、技術者塾では、最近のモーター制御手法やインバーターをはじめとするパワー回路の具体的な事例を示しながら基礎技術を解説します。

 具体的には、モーターの種類や電気的特性、モーターが要求される機能と特性、インバーター回路や双方向型DC-DCコンバーター、電源回路、ノイズを低減する回路構成、モーターを使いこなすための等価回路やPID制御をはじめとする制御方式、永久磁石同期モーターのベクトル制御手法や非干渉制御手法、IPMSM(埋込磁石型同期型モーター)の特性と最大トルク制御、エネルギー回生手法などです。

 モーターを駆動する制御アルゴリズムは、使用するモーターや使用されるシステムによって異なります。このため、どのような制御手法が適切か、それを確認する手法などを含めて解説していきます。


──想定する受講者はどのような方ですか。

高橋氏:これからモーターを使用したい技術者や、モーターやインバーターの構成について知りたい技術者、モーター駆動回路を設計する技術者、モーター制御システムを設計する技術者、サービスロボットなどの開発を行いたい技術者、モーター制御を理解したい技術者などです。モーターは動力源として広く使われているため、対象となる受講者層も幅広くなると思います。

 技術者塾では、モーターの基礎から実用的な回路、制御手法について、実例を挙げながら分かりやすく解説する予定です。初めてモーターを学ぶ方から、モーターをより効率的に利用したい技術者の方に参加していただきたいと思います。


──技術者塾を受講することで、受講者はどのようなスキルを身に付けることができるのでしょうか。

高橋氏:列挙すると、以下のようになります。まず、モーターの種類と特徴、駆動回路が分かります。また、永久磁石同期モーターの制御回路と制御手法を理解できます。そして、エネルギー回生の手法を知り、モーター駆動回路やインバーターについて理解できます。さらに、インバーター供給電圧を制御するコンバーターが分かり、エネルギー回生を可能にする制御方式が理解できます。そして、IPMSMの高効率制御手法を理解できます。