前回、前々回と、イノベーションの種であるアイデアをいかに育てていくかについて述べました。今回は5つの壁の中でも、様々な場面で大きく立ちはだかる「組織の壁」について論じていきます。
会社のしくみは既存の業務に最適化される
昨今の厳しい競争環境の中で生き残るため、皆さんの会社もさまざまな努力と工夫をして、経営や業務の効率化をしてきたかと思います。
例えば、人手が不足する中で、新入社員や異動してきた社員が直ぐにでも対応できるように業務プロセスを標準化し、他部門への依頼であっても規定のフォーマットに従い記入すれば、対応できるようにしています。また、毎年の予算はこれまでの業績と計画から、ほぼ定まったフォーマットに従って見積もれるようになっていますし、人の評価もばらつかないように定まった基準でできるようになっています。
このように、業務プロセス、リソース、予算、人事評価などあらゆるものが従来業務に即して最適化されています(表)。その最適化こそが、市場で生き残るための重要な要素になっています。
ところが、新しいことをしようとすると、既存の業務に対して最適化された中では、やりづらさを感じることになってしまいます。